筆者の専門は言語学で、特に「第二言語習得」(second language acquisition)と言われる分野です。あまり馴染みがないかもしれませんが、「第二言語習得」とは、母語以外の言語(外国語)を学習するプロセスを解明することを目指す研究領域です。 第二言語習得研究の特徴の1つに、学際的であることが挙げられます。すなわち、言語学はもちろん、心理学・脳科学・文化人類学など様々な分野の知見を取り入れ、発展してきたということです。 特に、記憶や学習のメカニズムを解明することを目指した認知心理学の研究から、効果的な外国語学習法に関する多くの示唆を得ることができます。 テスト効果:テストが記憶を強化する 今回は、認知心理学者である米国ワシントン大学のヘンリー・ロディガー教授とパデュー大学のジェフリー・カーピキ教授が行った研究をご紹介します(*1)。この研究は、外国語学習ではなく、母語での読解