沢木耕太郎『春に散る』最終回(505回)@朝日新聞2016年8月31日付朝刊より。 風が吹くと、一昨日の雨にも耐え、散り残った花びらが空中に舞い上がり、陽光を浴びながらハラハラと降り注いでくる。 美しいな、と思った次の瞬間、すっと通行人の姿が消えていくような気がして、胸に激しい痛みが走った。 立ち止まり、息をつくと、運河沿いにあるベンチを眼で捜した。幸い、誰も座っていないベンチが近くにあった。土手から降りて、そこに崩れるように座った。 ≪中略≫ 心臓の痛みが激しくなり、全身から力が抜けてくる。両膝〔ひざ〕の上に腕を乗せ、上半身を折るようにして耐えようとしたが、あまりの苦しさに呻〔うめ〕き声を出してしまった。 ラストシーン直前の描写である。 オールドマンガファンの脳裏には焼き付いて離れない、あのポーズだよね。 スポンサーリンク 弊ブログでは『春に散る』に登場する『あしたのジョー』のパロディも