季節はすっかり春。 良く晴れた日、道端では綿毛を飛ばそうと、タンポポが背伸びしている。 より遠く、新しい良き地へ種が届くように、 心地よい風に併せて、ふ~っと息を吹きかける。 旅立つ綿毛は希望に胸膨らませているよう。 そして、見送るタンポポに自分を重ねて、嬉しい様な寂しい様な思いを繰り返す。 葉や果実が植物体から離れる時、そこには「離層」ができているのだそうだ。 若い葉や実を無理にちぎれば、傷口ができるけれど、 枯れ葉や熟した種子は、かすかな風にもポトリと落ちる。 種子も植物体も無傷でいられるのは、離層がきちんと形成され、離れる準備が整っているから。 タンポポの綿毛が、軽やかに、ふわりと飛んだならば、 十分に栄養が運ばれ、しっかり独り立ちできる状態の種子と、役割を終えたタンポポの間に離層がきちんと形成されていて、 「旅立つ準備が整っていた」ということ。 子どもが生まれた時から、目指すゴール