アンネという言葉を目にしたり、耳にするだけで、胸が苦しくなり、少しだけ暖かくなります。極限ともいえる恐怖のなかにあってもなお、日記を綴り、言葉の中に、夢を描き続けた少女。彼女のことを思い起こすたび、人間の持つ可能性と、恐ろしさを同時に感じるのです。 Contents. 残された1冊 15歳の見た光 夢と願いの跡 内的な居場所 残された1冊 【あなたになら、これまでだれにも打ち明けられなかったことを、なにもかもお話できそうです。どうかわたしのために、大きな心の支えと慰めになってくださいね】(1942年6月12日 アンネ・フランク) いまなお世界中で読み継がれている『アンネの日記』。 この文面からわかるように、1942年6月12日、アンネは自分自身に宛てた手紙のように日記を書き始めます。 場所はアムステルダム中央駅から徒歩15分、街の中心地。 1944年初頭、アンネはラジオでオランダの文部大臣