本書は黒澤明監督が映画『トラ・トラ・トラ!』を降板させられたいきさつを映画の主人公である山本五十六の生涯。さらには米軍側のキンメル太平洋艦隊長官やスターク海軍作戦部長にも言及したノンフィクションです。 『羅生門』『まあだだよ』など映画の歴史に不朽の名作を残した映画監督、黒澤明。本書は黒澤監督の人生において最大の挫折の一つであるハリウッド映画『トラ・トラ・トラ!』の監督降板劇を黒澤監督と主人公である山本五十六の二人を軸に、配給・制作会社である20世紀フォックス側の動きに加え、さらには米海軍側の悲劇の主人公、キンメル太平洋艦隊長官やスターク海軍作戦部長たちにも論を加えたノンフィクションです。 本書を読む前、『トラ・トラ・トラ! 』の降板劇に関しては黒澤監督の伝記漫画である『クロサワ―炎の映画監督・黒沢明伝 (Big spirits comics special―日本映画監督列伝)』(園村昌弘、