ユーロ圏の現在の政策が力強い景気回復をもたらす可能性は果たしてあるのだろうか? 筆者の答えは「ノー」だ。ユーロ圏は2013年に世界全体の国内総生産(GDP)の17%を生み出しているだけに(市場価格ベース)、この答えは世界全体にとって大きな意味を持つ。 ユーロ圏の経済戦略を決めるのはドイツである。この戦略は(1)構造改革、(2)財政規律、(3)金融緩和の3要素から成っており、これまでのところ、適切な需要を創出できていない。2014年第2四半期のユーロ圏の実質需要は、2008年第1四半期のそれを5%下回っていた。 フランスとイタリアはともに、自国とユーロ圏全体の経済成長に再び火をつける手段の1つとして「構造改革」を加速するよう促されている。ここでユーロ圏全体の成長がかかわってくるのは、この2国を合わせればユーロ圏全体のGDPの38%を生み出していることになり、ドイツ(同28%)を上回るからだ。