試験導入中のIoT機器を手にする寺田栄里子さん。左手に持つ2本の細い棒状のセンサーで温度と湿度を測り、箱形の機器でスマホに送信する仕組み=島根県出雲市今市町の旭日酒造で、根岸愛実撮影 「人が手で造ることに変わりはありません。誇りを持っています」 江戸時代から続く老舗「旭日酒造」(島根県出雲市今市町)の副杜氏(とうじ)、寺田栄里子さん(43)が力を込める。今年からIoTを試験導入した。麹(こうじ)の温度と湿度を測って2、3分ごとにスマホに送るだけの機器だが、作業効率は格段に上がった。 酒造りは温度や湿度のわずかな変化によって結果が大きく異なるだけに、これまで夜に何度も起きて蔵に足を運んでいた。寺田さんは「布団の中で温度を見られるだけで全然違う」と話す。