『父、帰る』(03)、『ヴェラの祈り』(07)、『エレナの惑い』(11)に次ぐ長編第四作目『裁かれるは善人のみ』(14)が公開中のアンドレイ・ズビャギンツェフ監督に行ったメールインタヴューをここに掲載する。 『裁かれるは善人のみ』(原題:Leviafan、英題:Leviathan)は、前作『エレナの惑い』で描かれた、人々の荒廃した心の風景が、現実の社会システムとして広がっていることの“寓話”として描かれているように見える。ただ、『エレナの惑い』では市井の人々の肖像が描かれていたが、『裁かれるは善人のみ』においては、既得権益を守るためには手段を選ばない権力機構”国家”に、その照準は充てられている。 映画は、原初の自然が時を超えてそのまま残っているような、荒々しい海を見渡す、ロシア北部のバレンツ海沿岸地帯を舞台に、そこで生まれ育った男コーリャ(アレクセイ・セレブリャコフ)と、その土地を二束三文