2010年12月17日、チュニジアの露天商の男性が焼身自殺を図り、中東・北アフリカで反政府活動が広がる起点となった日から10年になる。「アラブの春」と呼ばれるこの現象は民主化を求める若者たちのデモから始まり、11年には長期に及んだ独裁政権を打ち倒したが、多くの国で政治や社会秩序が崩壊。武装勢力の台頭を招いて内戦が発生する国もあった。アラブ諸国は疲弊し、混乱は今も続いている。(カイロ 佐藤貴生) 内戦広がり不安定化 10年前の17日、チュニジア中部シディブジドで露店を開いていた男性=当時(26)=が警官とのトラブルの末に焼身自殺を図った。男性は翌月に死亡したが、これに抗議するデモの動画がSNS(交流サイト)で検閲をくぐり抜けて拡散。国境を越えて反政府デモのうねりが起きた。 デモが全土に拡大したチュニジアでベンアリ政権が11年1月に崩壊したのをはじめ、エジプトのムバラク政権▽リビアのカダフィ政