新型コロナウイルスが世界で猛威を振るう中、ワクチンや治療薬の開発にスーパーコンピューターや量子コンピューターを提供する動きが広がっている。日本では「富岳」が稼働を1年前倒しし運用を開始。思いがけない初舞台を迎えた。富士通は「デジタルアニーラ」を6月にも無償提供を始める。米国では米IBMが中心となって産官学共同のコンソーシアムが発足した。 超高性能コンピューターを活用してワクチンや治療薬の開発、せきによる飛沫の動きのシミュレーションなどを支援する狙いだ。高い演算性能を生かして世界的な危機の克服を目指す。 「自然災害などの緊急事態への対処は、富岳の開発時点からの狙い。世界的な困難の解決へ実際に貢献できる機会を得られて光栄だ」。理研の松岡聡計算科学研究センター長はこう意気込みを話す。理研はコロナ禍の早期収束への貢献を目指し、富岳の運用を1年前倒しして始めると2020年4月7日に発表した。6月中に