朝鮮の人々を保護するため、旧田島町の神社境内に設けられた小屋=「大正12年9月1日大震災記念写真帳」より(川崎市立中原図書館所蔵) 関東大震災では、デマを信じた人々が多くの朝鮮人や中国人を殺害した。東京と横浜に挟まれた川崎市内も惨劇と無縁ではない。憎悪をあおるヘイトスピーチも広がる今、加害者にならないために、歴史から何を学べばいいのか。防災の日を前に、九十七年前に川崎で起こった「事件」から考える。 (中山洋子) 川崎市内の実態は、市民グループが二〇一二年度に調査している。横浜や東京に比べて調査が少なく、地域で知られていないことから、元市職員の山田貴夫さん(71)と仲間たちが「記録に残したい」と着手。一年がかりで新聞記事や公文書などを集めて分析、冊子にまとめた。