1980年代が懐古の対象とされることにもいい加減慣れた。 おそらくいろんなところで指摘されているとは思うが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を持ち出すまでもなく、アメリカの80年代はいびつな形でフィフティーズが再発見され、リバイバルした時代でもある。日本にはその出し殻が上陸したので、おもにパステルカラーやネオンサイン、白黒市松模様のデザインやノーマン・ロックウェルの描いた架空の過去、といった大変薄っぺらい形の「50s風味」が人気を博した。ところでぼくはノーマン・ロックウェルが本当に大嫌いなのだが、それはかれが『三丁目のなんとか』同様、むやみと過去を美化したがる連中におもねった、全く虚構の風景ばかりを描いて悪質だからである。ロックウェルが描いたような、ビューティフルな(白人だけの)過去はどこにも存在しない。ロックウェルの名誉のために付け加えると、そのことはかれ自身も承知しており、後期になっ