監督とピーター・ジャクソンは『怪獣使いと少年』を観た事はあるのだろうか。ピージャクについてはないとは言えない。後半の展開はちょっと似てる。こちらの方は主人公のおかげで若干の希望を感じさせるが。宇宙人に通名(クリストファー・ジェファソンだっけ?)とか笑える。多分本名は人間には発音できないのだろうが。 細かい演出では大雑把でワンパターンなところもあるが(主人公あやうし!というところで思わぬ助け舟が・・・という展開多し)、やはり傑作の部類に入るのではないか。前半の『クローバーフィールド』風擬似報道もので全編通すのかと思ったら、後半思わぬ怒涛の展開でいい意味でびっくりですよ。まあ、そうなると『アバター』と微妙にかぶるんだけど。軍人キャラとか最終決戦兵器とか。 ただ『アバター』より数段上等に感じるのは、主人公のヴィカスが不器用でトロいけど人の良い人間に描かれているからだろう(首から下げているIDカー
骨の浮き出た上半身を可動式ベッドにもたれかけさせ、正岡は薄型テレビに見入っている。 田崎が病室に入っても、その眼差しは凝として液晶ディスプレイに注がれたままであった。 「また『はなまる幼稚園』ですかい、叔父貴」 声をかけ根際に添う田崎を一顧だにしない正岡。その年輪を重ねた枯れ木の風情とは対照的な、荒々しい木彫り細工のような面貌をこころもち伏せた田崎は、ただ黙して待つ。 先月よりも少し痩せたか――と田崎は思う。 カリエスを患い二年ほども寝たきりになれば、かつて誠和の牛鬼と呼ばれた男がこうまで枯れ、細くなるものか――田崎は己の胸に生じた鉛の味をしばし噛み締める。 やがてテレビに写っていたアニメ――『はなまる幼稚園』の七話『はなまるな夏休み』――が終わり、正岡が深く、長い息をつく。 そして正岡の目玉が別の生き物のように蠢き、田崎を見据える。 「おう、おどれ……おったんかい」 「へえ」 田崎は頭を
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