2009年秋、2つの連続不審死事件が明るみに出た。いずれも30代の小柄の肥満体型の女性が幾人もの男性を虜にして多額の金を貢がせていた格好だったが、世間の反応は対照的だった。 首都圏でネットを通じて知り合った中高年の独身男から金をだまし取り「セレブ」な生活を送った木嶋佳苗。法廷での服装や突拍子のない発言まで詳細に報じられ、佳苗の裁判の「追っかけ」まで登場した。 一方、鳥取県の寂れたスナックで5人の子どもを抱えながら出会った男達を手玉に取った上田美由紀。木島佳苗が独身の中高年がターゲットだったのに対して上田美由紀は妻子持ちを狙った。それも刑事や読売新聞記者という収入や社会的地位が低いわけでもない人間が多い。だが、彼らは青白く瞬く「誘蛾灯」に吸い寄せられるように妻子や職を捨てでも美由紀の元に走り、最終的には謎の死を遂げる。ダンボール箱をかぶった状態で轢死するなど木嶋事件よりも、謎の点も多いのだが