<菅政権は排出量実質ゼロを打ち出すが、省エネ国家でも技術先進国でもない現実を受け入れる必要がある> 菅政権が本格的な脱炭素政策に舵を切った。安倍政権は事実上、脱炭素を放棄していたことを考えると、極めて大きな方向転換といってよい。 中国を含む世界各国が脱炭素に邁進している状況を考えれば、これは正しい選択だろう。ここ5年で諸外国の環境技術は驚異的な進歩を遂げたが、この大事な時期に脱炭素に背を向けてきたツケは大きい。日本企業は関連技術で諸外国に大きく出遅れており、追い付くのは容易ではない。 菅義偉首相は就任後の所信表明演説において、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすると表明した。日本は17年時点で、年間約12億9000万トンの温室効果ガスを排出している。1人当たり排出量は約10.2トンだが、これはイギリス(7.2トン)やフランス(7.3トン)など諸外国と比較してかなり多い。 日本