前回と同じで★で表しているのは今回の本命度ですが、作品の評価とは必ずとも一致しないことをお断りしておきます(5点が最高。☆は0.5点)。 ■『あとかた』千早茜(初。新潮社) 今回、芥川賞は5人中2人が初ノミネートだが、直木賞は6人中3人と、なんと半数が新人である。節目の回に新しい風を入れようという意図であれば喜ばしいことだ。 初ノミネートの千早茜は、デビュー作『魚神』でいきなり第37回泉鏡花文学賞を獲得するなど、早熟の印象がある作家である。 本作では第二十回島清恋愛文学賞を授けられている。 『あとかた』は6作からなる短篇集である。巻頭の「ほむら」は結婚を間近に控えている恋人がいるにも関わらず無頼な印象の中年男と知り合った女性が主人公、続く「てがた」ではその男の元部下だった男が語り手になる。男は結婚を機に妻の実家に近い郊外のマンションを購入、妻との距離がだんだん開いていくことを感じながらも、
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