■王力雄「炎の遺言――なぜチベット人は焼身するのか?」 前半■ ■長すぎる前書き(1):チベットの最大の問題は情報 チベット人作家ウーセルの夫でもある中国人作家・王力雄が香港誌・陽光時務のチベット特集に焼身抗議に関する記事「炎の遺言―なぜチベット人は焼身するのか」を寄稿した。まず最初にこのコラムの立場について簡単に解説させていただきたい。なおサイト「チベットNOW@ルンタ」でtonbaniさんの解釈も掲載されている。 記事はチベット人焼身者の遺言の内容を7つに分類して分析し、「絶望のために焼身したのではない」「国際社会に助けを求めているわけではない」との結果を導き出している。 この分析が妥当であるかを考える前に、抑えておくべき重要なポイントがある。私たちは「彼らがなぜ焼身したのか?」について確たる情報を持っていないという点だ。中国が現地の情報を封鎖しているため、ごくわずかな情報から類推する