「せき止めなどの薬が足りない状態が続いています」と話す小野啓一郎さん=西東京市の小田薬局東伏見店で2023年10月3日、上東麻子撮影 季節外れのインフルエンザや新型コロナウイルスが流行し、せき止めなどの風邪薬が調剤薬局で不足する事態が続いている。薬局を訪れると、薬剤師が対応に追われていた。なぜ薬が不足するのか。理由を探ると、日本の医薬品製造をめぐる構造的な問題が浮かんできた。 「卸業者に注文しようとしても在庫がない。発注できても欲しい量が手に入らないんです」。西東京市の小田薬局東伏見店の管理薬剤師、小野啓一郎さんはため息をつく。現在、最も入手が困難なのがせきを鎮める薬(鎮咳(ちんがい)薬)だ。他にもたんを切る薬(去痰(きょたん)剤)や解熱鎮痛剤、一部の抗生物質の入手が困難な状況が続いているという。 「在庫がない時は、近隣の薬局や系列の2店舗に連絡して取り寄せたり、患者さんに事情を説明して医