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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/ikedanobuo (26)

  • オーナー企業の時代 - 池田信夫 blog

    Businessweekの選ぶ世界の優良企業40社の第1位に、グーグルやアップルを押えて任天堂が選ばれた。ユニクロは過去最高益を更新し、世界展開をめざしている。この4つの企業に共通しているのは、所有と経営の分離していないオーナー企業だということだ。 所有と経営の分離はバーリ=ミーンズによって資主義の新しい形態とされ、バーナムは経営者資主義によって企業は計画経済の長所を取り入れることができると主張した。しかし所有と経営が分離すると、Jensen-Mecklingが指摘したエイジェンシー問題が発生する。これを克服するために欧米では資の所有権と命令でコントロールする垂直統合型の巨大企業が発達したが、これは命令される従業員のインセンティブを弱める。それを監視する階層構造が多重化する・・・という悪循環によって「大企業病」に陥る企業が増え、欧米型の垂直統合企業は1970年代以降、没落した。

  • 上半期の経済書ベスト10 - 池田信夫 blog

    週刊東洋経済の恒例のリストの8位に、めでたく池・池が入った。いまこそ、ケインズとシュンペーターに学べ アニマルスピリット 戦後世界経済史 だまされないための年金・医療・介護入門 ブラック・スワン 世界恐慌と経済政策 金融危機の経済学 なぜ世界は不況に陥ったのか 金融革新と市場危機 誰から取り、誰に与えるか1は連載記事をまとめたもので、ケインズとシュンペーターの議論がばらばらに紹介されていて焦点が定まらない。あとはほとんど当ブログで紹介しただが、6は世界恐慌のときの日の政策対応を数量経済史の...

  • ツイッターはなぜノイズが少ないか - 池田信夫 blog

    ゲーム理論にメカニズムデザインという分野がある。これ自体は非常に数学的に高度なので、一般の読者にはおすすめできないが、基的な考え方は福祉経済学を拡張した規範的ゲーム理論だ。普通のゲーム理論は、あるゲームのルール(利得行列)のもとで人々が合理的に行動するとどうなるかという結果を予想するが、メカニズムデザインでは逆に、望ましい結果を実現するゲームのルールはどのようなものかを考える。 最近、2週間ほどツイッターを使ってみて、意外にノイズが少ないことに気づいた。直感的には、断片的な「つぶやき」を全世界に発信できるとノイズだらけになりそうなので、私もアカウントをとったまま休眠状態だった。しかし先週のネットラジオで聴取者の反応を募集するために使ったら、意外にちゃんとした意見が集まった。これについて先週のASCII.jpで書いたら、いろんな反応がきた。 Dankogaiは「たとえ@celeb 三国

  • 超ガラパゴス戦略 - 池田信夫 blog

    今週のASCII.jpのコラムで紹介したが、NYタイムズまで日の携帯電話を「ガラパゴス」と呼ぶようになった。しかし夏野剛氏もアゴラ起業塾で言っていたように、日のケータイの技術は今でも世界一だ。資金も人材も十分だ。欠けているのは、それを世界に売り込む戦略を決断する経営者だけだ。 逆にいうと、経営者を入れ替えて戦略を立て直せば、ガラパゴスと馬鹿にされている技術を世界に売り込むこともできるはずだ。書は、そのためのフレームワークを提唱し、いくつかのケースを「進化論」的な枠組で分析している。日の製造業が要素技術ではすぐれていながら収益が上がらない原因は、モジュール化によって「すり合わせ」の優位性が生かせなくなったからだ、というのはおなじみの議論だが、この程度の認識もなしに「ものづくり」にこだわる経営者が多い。 問題は、どうすればこの隘路を突破できるのかということだが、そこに意味的価値とい

  • ブラック・スワン - 池田信夫 blog

    コメントで教えてもらったが、翻訳の難航していた"The Black Swan"の訳が、ようやく6月に出るようだ。アマゾンで予約を受け付けている。 たぶん10年に1冊ぐらいしか出ない、世界経済危機を予告しただ。経済を破滅に追い込むのは、金融工学がヘッジしたと称しているリスクではなく、予測不可能な不確実性だ、という書の警告をアメリカの金融当局が真剣に受け止めていたら、こんなひどいことにはならなかったかもしれない。

  • タテ社会の力学 - 池田信夫 blog

    著者の『タテ社会の人間関係』は、出版から40年以上たっても現役で、110万部以上のベストセラーだが、これが英訳までされて類型的な「日人=単一民族論」を世界に流布した罪も大きい。書は、それに対する批判に弁明したもの(新書の文庫による再刊)だが、前半は前著の繰り返しなので、これだけ読んでも著者の「日人論」はわかる。 まず問題なのは「タテ社会」というタイトルだ。これは著者もミスリーディングだと認めているのだが、もう定着してしまった。むしろ日社会の特色は、タテの階級構造がほとんどなく、みんなが(建前上は)平等なメンバーとして小集団を形成していることだ。これはイエ(家族)とムラ(村落)の2層構造になっており、同じムラの中でもウチとヨソは違う。ただヨソのムラに対しては、ムラの結束は強い。 この構造は、日人が思っているほど普遍的な「共同体」ではなく、アジアでも他の国にはほとんど見られないと

  • 悩む力 - 池田信夫 blog

    先週、次の次のの企画を編集者と話していて、「『悩む力』は75万部ですよ。ああいうは書けませんか?」といわれたので、ブックオフで買って読んでみたが、途中で投げ出した。書の主人公はウェーバーと漱石だが、きのう紹介した週刊東洋経済の特集でも、いまだに『プロ倫』を古典と信じている人が多いので、基的な事実関係だけコメントしておこう。 前の記事でも書いたように、『プロ倫』には事実誤認が多い。フランクリンは、カルヴィニストではなく理神論者(Deist)だと自分で書いている。イギリスでも資家にはアングリカンが多く、カルヴィニストは少数派だった。またウェーバーによれば、資主義が西欧で生まれたのは19世紀ということになっているが、最初の株式会社ができたのは17世紀であり、イギリスで資や利子の概念が法的に公認されたのは13世紀だ。 ウォーラーステインの見方でいえば、資主義的な近代世界システム

  • 実践 行動経済学 - 池田信夫 blog

    このアイテムの詳細を見る Nudgeの邦訳。行動経済学は山ほど出て傷気味だが、書はこれを政策に応用しているところがおもしろい。人々が合理的に行動すると仮定して制度設計すると、2000年の欧州の周波数オークションのように大失敗することがあるので、人が限定合理的に行動すると仮定して制度設計しようというものだ。 これは特に霞ヶ関の人々に政策を実行させるときは重要で、彼らには「自分たちは民間より頭がいい」と思い込むバイアスがあるので、「民間を指導して産業を振興する」政策が好まれる。また効率性...

  • 何も破壊しない日本が破壊される - 池田信夫 blog

    最近ブログ界では日に見切りをつける話が流行しているが、Economist誌も日には匙を投げたようだ(要約はいつもの通り適当):日はながく業界を守る「護送船団行政」を続けてきたが、今回も史上最大のバラマキによってそれを続けようとしている。欧米諸国でも似たような政策は行なわれているが、それは例外であり、きびしい批判にさらされている。しかし日では、税金を「ゾンビ企業」に資注入することが当たり前のように受け入れられている。 これはきわめて有害である。日には、利益の出ない会社が多すぎる。たとえば携帯電話メーカーは8社もあり、そのほとんどは赤字だ。こういう企業は自分の首をしめているだけでなく、貴重な資と人材を浪費しているのだ。おかげで日企業のROEはアメリカの半分しかない。 この大不況にあっても、日企業の廃業率は英米の半分しかなく、倒産は15%しか増えないと予想されている。欧州で

    badpiero
    badpiero 2009/06/20
    変化の嫌いな日本人。
  • 成熟できない国と成熟しすぎた国 - 池田信夫 blog

    韓国の盧武鉉・前大統領が自殺した。韓国の大統領が引退後、訴追されることは珍しくもないが、自殺というのは初めてだ。死者に鞭打つようで恐縮だが、韓国という国はいつまでたっても成熟できないのだなという感を強くする。 日韓国は、ほとんど管理された実験のような「双子国家」である。遺伝的にはほとんど同じでありながら、その民族性は対照的だ。日人は感情を表に出さず、自己主張しないが、韓国人は感情の起伏が激しく、敵を徹底的に攻撃する。明治以降、日は非西欧圏ではほとんど唯一、自力で近代化を果たしたが、李氏朝鮮は近隣各国の侵略を受け、最終的には日の植民地になった。 その原因は、李朝の「儒教原理主義」ともいうべき統治機構が500年以上にわたって続いたことだとされる。儒教では皇帝と官僚機構を頂点とする階層秩序を想定しているが、中国は大きすぎるため、それほど厳密な階層構造はできなかった。これに対して李朝

  • 「エコ」という名の産業政策 - 池田信夫 blog

    Robert Reichがオバマ政権の産業政策に警告している:America now has a full-blown industrial policy. But it's an odd one -- a combination of lemon socialism and taxpayer-financed regulation. Bailing out the auto companies while forcing them to lay off tens of thousands of their workers, imposing higher fuel-economy targets on them, and lending them billions more to meet those new targets seems oddly unrelated to the l

  • 「中国化」する日本? - 池田信夫 blog

    先日、CSの番組に出演したとき、キャスターの葉千栄氏がしきりに「日はどうなってるんですか」と心配していた。上海総合指数は今年に入って4割以上も上がり、「リーマン前」の水準に戻ったのに、日政治も経済もグダグダの状態がいつまで続くのか・・・ときかれても、こっちがききたいよ。 なぜ中国がこんなに元気で日がだめなのか考えてみると、たぶん中国のほうがグローバル化に慣れているからだと思う。中国には昔も今も主権国家がなく、(主観的には)世界全体に広がった<帝国>が続いてきたので、狭いコミュニティに支えられないと動けない日人よりグローバル化しやすいのではないか・・・と思っていたら、與那覇潤氏から「中国化論序説」(愛知県立大学文学部論集57号)という論文を送っていただいた。 與那覇氏によれば、こうした中国の<帝国>的構造は宋代からのもので、中国のほうが西欧よりはるかに早くから農村共同体を超えて

  • 会社に人生を預けるな - 池田信夫 blog

    最近の終身雇用をめぐる記事に対するウェブでの反応をみると、ほぼ9割以上が賛成という感じだ。サラリーパーソンにとっては、会社が当てにならないというのは、昨今の不景気で身にしみているのだろう。かりに会社が終身雇用を維持したとしても、その会社がつぶれたらどうしようもない。著者もいうように、今や外部労働市場でつぶしのきかない会社人間になりきることは、かえってリスクの高い生き方なのである。 しかし書の議論は、かなり荒っぽい。これまでにも書いたように、著者の批判する「終身雇用制」などというものは、制度としても実態としても存在しない。労働経済学や労働法の専門家は、このミスリーディングな用語を避けて、長期雇用という言葉を使うのが普通だ。またサラリーパーソンを奴隷と同一視して、南北戦争が「北部で奴隷を抱えるコストを雇用主が負担しきれなくなった」ために起こったというのもおかしい。 古代ローマで奴隷が解放

  • ウェブ時代をゆく - 池田信夫 blog

    年をとると、を読むのが速くなる。書いてあることの大部分が既知の話なので、飛ばして読めるからだ。逆にオリジナルな学術書は、1冊読むのに1ヶ月かかることもある。だから私の場合、の価値はそれを読むのにかかった時間にほぼ比例する。書は、15分で読了した。何も新しいことが書いてないからだ。おまけに「リーダーシップ」だとか「ロールモデル」だとかいうありきたりな人生論が多く、ほとんど江原啓之化している。 『ウェブ進化論』のころにはまだ目新しかったシリコンバレーの世間話が、「またか」という感じで延々と続く一方、日の現実への言及がほとんどない。彼が取締役をつとめている「はてなブックマーク」の人気記事から拾っただけでも、「どうせ理系出身者なんていらねえんだよ」「IT業界を不人気にした重鎮たちの大罪」「IT業界のネガティブイメージ 」といった記事が上位に並ぶ。PCでも携帯電話でもウェブでも世界から孤立

  • 10年は泥のように働け - 池田信夫 blog

    IPA主催による、IT業界の重鎮と学生の対話集会が、今年も開かれた。去年の集会では「3Kの“帰れない”は、帰りたくない人が帰れないだけ。スケジュール管理の問題だ」という重鎮の発言で、かえってIT業界のネガティブイメージが定着してしまったが、今年はIPAの西垣浩司理事長(元NEC社長)の「入社して最初の10年は泥のように働いてもらい、次の10年は徹底的に勉強してもらう」という発言に、学生はみんな唖然としたらしい。 これは伊藤忠の丹羽宇一郎会長の言葉で、このあと「最後の10年はマネジメントを大いにやってもらう」と続くそうだが、これじゃ霞ヶ関の役人と同じだ。若いときは「雑巾がけ」で会社にご奉公し、年をとってから楽なマネジメントで取り返すという徒弟修業型のキャリアパスは、組織が永遠に不変で、自分がそこに定年まで終身雇用で勤務するという前提でのみ成り立つインセンティブ・システムである。 日の年

  • だまされないための年金・医療・介護入門 - 池田信夫 blog

    書はごくオーソドックスな福祉の入門書だが、著者からの献につけられた手紙によると、この程度の話も厚生労働省の審議会では「市場原理主義」と罵倒されるそうだ。それはたぶん経済学者が、厚労省にとって「不都合な真実」を語るからだろう。その最たるものが、当ブログでも紹介した世代間の不公平だ。書の計算では、生涯の年金・健康保険などの給付と負担の差が、1940年生まれの人はプラス4850万円であるのに対して、2005年生まれの人ではマイナス3490万円。実に8340万円もの差がついている。 著者の提案は、年金を積み立て方式に変えて基礎年金を消費税でまかなうという常識的なものだが、この程度の改革にも厚労省の官僚は反対なのだという。この背景には、年金という厚労省の利権を税という財務省の利権に吸収されることへの抵抗がある。年金や健康保険料は税と同じなのだから、税務署が一括してとればよいのだが、厚労省は一

    badpiero
    badpiero 2009/02/06
  • 「天下り禁止」のまやかし - 池田信夫 blog

    麻生首相が「年内に天下りを禁止する」と表明したことが大きなニュースになっているが、これはまやかしだ。当ブログで何度も説明したように、もともと改正された国家公務員法では、再就職等監視委員会が承認しないかぎり天下りはできないので、監視委員会が発足できない以上、天下りは即時禁止にするのが当然だ。それを官僚が政令で「内閣総理大臣が代行する」という規定を入れて法律を改竄してしまったのだから、天下りを年末に禁止するのは「前倒し」ではなく、1年遅れである。 さらに大きな問題は、天下りだけが槍玉に上げられ、公務員のキャリアパス全体の改革が放置されていることだ。民主党は「ハローワークで職探しをしろ」というが、彼らはハローワークへ行ったことがあるのだろうか。50過ぎて給与の高い管理職が、ハローワークで職を見つけることはまず不可能だ。民間でも、50過ぎた経営者が転職するのは、企業の系列関係を利用する「天下り」

  • 上杉隆氏が理解していない簿記の基本 - 池田信夫 blog

    私の記事に対する上杉隆氏の反論がダイヤモンド・オンラインに出ている。当ブログは、実名の批判には基的に答える方針なので、お答えしておこう。彼はこう書く:給付金は、税の還付であるかどうかは議論の分かれるところだが、少なくともその財源について〈国債の増額〉〈必ず増税〉ということはない。今回の第二次補正予算でも明らかなように、その大部分には「埋蔵金」が当てられる。定額給付金が減税であるか還付であるかはどうでもよい。問題は、それが国の資産を2兆円減らすということだ。国の財政を複式簿記であらわすと、資産には税収と国有財産があり、債務には国債がある。政府債務843兆円に見合う将来の税収が843兆円あるとすると、税金(資産)を2兆円取り崩すと、何らかの方法で資産を2兆円増やさないと債務不履行が生じる。国有財産の売却などは、もともと資産に計上されている項目を現金化するだけなので、バランスは変わらない。

  • 日本的福祉システムの終わり - 池田信夫 blog

    私の出演したCSの番組がYouTubeで流されて、15日の記事にコメントがたくさんついている。司会者が私の話を理解しないで変な突っ込みを入れ、コメンテーターが「日的経営」にこだわるため話が脱線してしまったので、少し補足しておこう。 今のような状況になると、必ず「企業は景気のいいときもうかったのだから、内部留保を取り崩して雇用を守れ」という話が出てくる。こういう精神論は、企業が労働者のセーフティ・ネットになっていた日的福祉システムを前提にしているが、そんな構造はとっくに崩壊しているのだ。日的経営の典型と思われているトヨタも、すでに海外生産が国内生産を上回った。 こういう状況で製造業の派遣を禁止したら、派遣労働者は間違いなく失業者になる。不況で労働需要が急減しているので、企業が正社員を新たに雇用することは考えられない。人手が足りなければ、海外にアウトソースするだろう。今後ずっと雇用規

  • 利己主義という気概 - 池田信夫 blog

    グリーンスパンがFRB議長をつとめた18年間は、著者アイン・ランドに象徴されるリバタリアンの時代だった。「自己調整的な市場」を信じたグリーンスパンの手法が現在の金融危機の原因だ、とスティグリッツは断罪している。投資銀行を規制しようとしたヴォルカーを更迭して、ランドを教祖とするクラブのメンバーだったグリーンスパンを議長にしたのはレーガン大統領だった。議会で追及されて、グリーンスパンは失敗を認めた。Looking back at that belief during hearings this fa...