近年、新世代のジャングル/ドラムンベースのプロデューサーやDJが注目を集め、UKのジャズシーンは新たな黄金時代を迎えている。その背景にあるものは何なのだろうか。 1980年代後半から90年代初頭、アシッドハウス(※)の熱狂に沸く英国において誕生したジャングル。そしてほぼ時を同じくして成立したアシッドジャズは、DJが主体となった英国のジャズ文化の新局面だった。本題に入る前に、この2つの音楽について簡単に振り返る。 ジャングルとは何か。『DUB論(改訳決定版)』(2023年、水声社)のなかでマイケル・ヴィールは、「ジャングル(別称ドラム&ベース)は一九九○年頃にイングランドで発展した、ジャマイカのダブとDJミュージック、イギリスのテクノのハイブリッドだ」と記し、その音楽的特徴を「ダブ(ドラムとベースを強調したミックスとアトモスフェリックなサウンドスケーピング)とヒップホップ(抜粋したブレイクビ