BLUE ON BLUE(XPD SIDE) - 情報型主人公と世界精神型悪役の出会い 悪役の没落が大きな物語の没落とシンクロしているとするならば、自らの小さな物語を世界へと展開しようとする悪役と、彼らを物語世界の中心にして審級とする類の作品の勃興も、大きな物語の没落とシンクロしていた、と云えるだろう。あたかも、大きな物語の衰退と共に努力型主人公が情報型主人公へととって変わられていったかのように。 旧来の「努力型主人公」には、成長の最終目的地が用意されていて、それはつまり、勇者が倒す魔王です。それまで弁証法的に先延ばしにしてきた、物語内の対立・葛藤・矛盾を、最終審級としての魔王に体現させているのです。しかし、「情報型主人公」の世界には魔王的なラスボスは君臨していません。そもそも、そのような個体への一元化と、善悪の二項対立といった、図式が崩れているから、大きな物語が失調しているのです。「情報