『武器としての「資本論」』を執筆し、インタビューに応じる白井聡さん=大阪市北区で2020年7月11日、山田尚弘撮影 政治学者、白井聡さん(42)の新刊『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)が好評だ。言わずと知れたカール・マルクスの大著『資本論』の入門書であり、新自由主義の時代を生き抜くための指南書でもある。「私たちは資本制を利用して生きているのではなく、いわばのみ込まれている。そして今、窒息しているんじゃないですか、と問いたい」と白井さんは語る。【清水有香】 資本論のすごさとは何か。白井さんは冒頭でその射程の長さを挙げる。「我々が生きている現実社会を、とても身近なレベルから最も抽象的なレベルまで首尾一貫して説明できる体系としてある」。刊行から150年を過ぎた今なおその刃(やいば)は鋭い。なぜ上司が嫌な態度をとるのか。なぜ自己啓発本を何冊読んでも救われないのか。「日常生活で直面する疑問