【ワシントン=洞口昇幸】米国で、雇用主が従業員に支払うべき賃金を違法に減額したり、給与・手当を支払わない“ウエージ・セフト(賃金窃盗)”が問題になっています。被害額のうち回復された金額が、銀行やガソリンスタンドなどでの強盗の被害額の2倍を超えています。米「経済政策研究所」(EPI)が2日に発表しました。 EPIは、米国の労働省と司法省の資料を分析。それによると、2012会計年度(11年10月~12年9月)の期間に、労働省が雇用主側から労働者30万8000人分の未払い賃金(ウエージ・セフトの被害額の一部)2億8000万ドルを取り返しました。同じ期間の強盗犯罪の被害額は1億3900万ドルでした。 「雇用主側は毎年、勤務時間外労働や最低賃金以下の給与、残業手当の未払いによって、労働者側に得られる権利のある数十億ドルを盗んでいる」と指摘。このようなウエージ・セフトに、低賃金労働者の3分の2以上が被