リーダーらしき男性は左手で傘をさし、右手に鉄パイプを握っていた。20歳そこそこだろうか。黒の上下にマスクとヘルメットを着用し、目元しか見えない。道路には、ガラス瓶やレンガが砕けて散乱している。男性のすぐ後ろには、水泳のビート板やベニヤ板の盾と雨傘を持つデモ隊が1000人ほど連なっていた————。2019年11月。中国政府による強権的な支配を嫌う香港の抗議活動は、香港理工大学で激しい衝突を引き起こした。警官隊と対峙(たいじ)したのは、若い学生たちだ。高校生らのティーンエイジャーも少なくない。彼ら彼女らは何を見たのだろう。何を考えていたのだろう。(文:岸田浩和、写真:Viola Kam、動画:岸田浩和/Yahoo!ニュース 特集編集部)