つるりとしていて硬い、プラスチックのような物体。 オレンジ色のものを鼻に近づけると、ほのかに人参の香りがする。茶色の方はチョコレートだろうか、香ばしい匂いだ。 手に持つとしっかりとした重みを感じるこれらは、100パーセント食品廃棄物から出来ている。 「お腹は痛くなるかもしれませんが」と笑いながら“食べられる素材”について話すのは、開発者であり、fabula(ファーブラ)株式会社代表の町田紘太(まちだ・こうた)だ。 2021年10月に起業した東京大学発のベンチャー、fabula。 fabulaはラテン語で「物語」を指す。形が悪い野菜や、コーヒーの絞りかすなどの食品廃棄物を新しい素材に生まれ変わらせ、終わるはずだった“物語の続き”を作ろうと奮闘している。 町田はfabulaの代表取締役でありながら、東京大学生産技術研究所・酒井雄也准教授の研究室にも籍を置く研究員だ。 食品廃棄物からつくる新素材