ガガガ文庫新人賞5年ぶり、満場一致の大賞受賞作にして「何故ライト文芸として出さないのか」と議論を呼んでいる四季大雅先生の『わたしはあなたの涙になりたい』を読みました。 感想としては、 とにかく歪で尖った、モンスター級の新人デビュー作であり怪作SF に尽きます。 「塩化病」という身体が塩になって死んでいく奇病により母親を失った少年と、母親から虐待を受けている少女の交流が主の話と書くと、ライト文芸でありがちな「キラキラ難病もの(死のリアリズムを排除したなんか綺麗な感じの難病で死んでいくヒロインとの恋愛を描いたライト文芸のジャンル)」に見えるし実際そうなんですが、恐ろしいのはキラキラ難病とそれに伴う「感動」を描く気があまり無くて、むしろそういった作品群で「感動」を期待する読者に思い切り冷や水を浴びせかけるつくりになっているところなんですね。 というのも、東日本大震災や東欧の侵略戦争といった巨大な