コロナ禍によって多くの尊い人命、健康が害され、いまなお現在進行形でこの未曾有の厄災は続いている。謎のウイルスという、とんでもなく暴力的な因子によってもたらせられた、とんでもなく暴力的な社会情勢の変化。その中で僕たちは、それまでの生活様式を根底から考えなおすことを余儀なくさせられた。 いま生きている人たちが経験したことがないほどの規模のパンデミックという、ずいぶんとアポカリプス的な文字列が突如として僕らに押しつけられた。「いままで普通にできていた」ことが少しだけできなくなることは、社会的生物にとって思っていた以上のストレスになるらしく、誰も彼も、義士も聖女も、愚図な僕も含めて、等しくどこかイライラしていた。 とくにSNSでは、真偽不明のお話で何かを叩き、真偽不明の噂で誰かを叩き、叩いたのが悪いと叩いた人を叩き、叩いたのが悪いと叩いた人を無関係な人が揶揄していた。誰もが誰かの尻尾を歯をむき出し