プリンスの訃報を耳にしたとき、私は、ついぞ味わったことのない衝撃を受けた。最初はとにかく信じられなかった。次に恐怖と吐き気に襲われた。そして身体じゅうの水分が絞り出されるかのように涙がこぼれ、胃が激しく痙攣した。母親から、大丈夫かとメッセージが届いた。身内も含め、誰かの死にさいして、あんなに早く母親から連絡がきたことは、後にも先にもない。普段、携帯なんてほぼ使わない父親も、自分のお気に入りソングだといって〈スノウ・イン・エイプリル(Sometimes it Snows in April)〉のリンクを送ってきた。プリンスが座るスツールの軋む音が聴こえるのがいい、と父はメッセージをくれた。私は、プリンスのコンサートを生で観られなかった自分を呪った。同時に、プリンスという天才と、長大な宇宙史の刹那を共有できた奇跡に感謝した。彼を讃える言葉など、この世にない。それほど偉大なプリンスの死を、私は心か
![セックス抜きでプリンスは語れない](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/4cceb0e9e3a629e4f981226ebd067e5df3c0300b/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fimages.vice.com%2Fnoisey%2Fcontent-images%2Farticle%2Fprince-and-the-power-of-women%2Fprince-by-charlotte-mei-web--1-.jpg%3Fimage-resize-opts%3DY3JvcD0xeHc6MC42MjV4aDtjZW50ZXIsY2VudGVyJnJlc2l6ZT0xMjAwOiomcmVzaXplPTEyMDA6Kg)