しばらく前の日経新聞「交遊録」(最終面のコラム)にソロクライマー山野井泰史氏が登場していた。その道を極めたプロらしい内容で、他の方々とは一線を画すものとして強く印象に残った。山野井氏にとって登山とはもちろん労働ではなく、好きなことを極めているに過ぎない。しかし、「労働者」として見ると、その姿は最高(or最強)ではないかと思った。 名誉欲も金銭欲もなく、死ぬリスクを冒して「登山」という職業に打ち込む。「仕事」が「大好きなこと」or「強い意義を感じること」であるなら、その仕事は人生と合体し、給料の多寡に関わらず、どんなにハードワークでもあっても(むしろ喜びを覚える)人は打ち込んでいくのだろう。そして、その仕事での「死」はむしろ本望(当然のリスク)でもあり、幸せな人生だったという結論になる。 一般的にはしかし、人生と合体するほど大好きな仕事というものは見つからない。私もそうだったが、好きなこと(