理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター量子電子デバイス研究ユニットの山本倫久ユニットリーダー、量子機能システム研究グループの樽茶清悟グループディレクターらの国際共同研究グループは、多数の伝導電子[1]が局在スピン[2]を取り囲んで遮蔽する「近藤雲[3]」の空間的な広がりを実験的に捉えることに成功しました。 本研究成果は、局在スピンが複数存在する電子間相互作用が強い物理系の理解の進展や、長距離スピン結合[4]をベースにした新しい量子情報処理技術[5]の開発に貢献すると期待できます。 近藤雲の大きさは、局在スピンを持つ多くの物質の電気的な性質を決める重要なパラメータです。その観測実験は、過去50年にわたって世界中で行われてきましたが、これまで成功した例はありませんでした。 今回、国際共同研究グループは、半導体の人工原子[6]に局在スピンを閉じ込め、これが周囲の伝導電子と相互作用することに