■欠ける「原発ゼロリスク」の視点 鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)が4月22日、反原発派住民らによる九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)運転差し止めの仮処分申請を却下した。専門家によって見直された新規制基準を冷静に評価しており、合理的な司法判断といえる。だが、九州・山口の多くの地方紙は、非科学的な批判を繰り返したり、25日付時点で社説や論説の掲載を見送っている。(津田大資) ◇ 「説得力のある理性的判断だ」 産経は社説にあたる「主張」(23日付)でこうした見出しを掲げた。 鹿児島地裁の判断を「原子力規制委員会が定めた原発安全のための新規制基準にも、またそれに照らして適合性が認められた川内原発の安全対策にも不合理な点はないという理由に基づく決定だ。再稼働を大きく近づけた」と評価した。 今回の決定によって、エネルギーの安定供給や火力発電所の燃料費による年間4兆円近い国富流出