今年の考古学界は大発見が続出した。1月には聖徳太子の弟・来目(くめの)皇子の墓とされる大阪府羽曳野市の塚穴古墳で大規模な外堤を確認。今月は奈良県明日香村の牽牛子塚(けんごしづか)古墳の前で石室が見つかり、斉明天皇の孫娘・大田皇女(ひめみこ)を葬ったという日本書紀の記述と一致した。一方、藤原宮跡(奈良県橿原市)の遺構が誤認だったことが判明したほか、日本考古学協会の蔵書の海外寄贈問題が浮上するなど考古学のあり方が問われた1年でもあった。 ■「想定外」の発見 研究者や歴史ファンを最も興奮させたのが、牽牛子塚古墳(7世紀後半)の発掘だ。墳丘周囲から八角形状に囲む石列が見つかり、八角形墳と判明。天帝を示すとされる八角形は天皇陵に限定され、斉明天皇の墓説が確実になった。 その後の調査でサプライズも。牽牛子塚古墳の約20メートル前方で見つかった石室は、日本書紀の記述通り、斉明天皇に寄り添うように孫の大田