【モスクワ=副島英樹】ロシアが9年ぶりに見直す新軍事ドクトリンで、核兵器先制使用の条件を緩める方針であることを、パトルシェフ国家安全保障会議書記が14日付のイズベスチヤ紙で明らかにした。これまで通常兵器による大規模侵略には先制使用を認めてきたが、新ドクトリンでは地域的・限定的な戦争でも先制使用を認めるほか、侵略計画者への予防的使用もありうるとしている。 オバマ米大統領が「核なき世界」をめざすと宣言し、ロシアのメドベージェフ大統領も今月、ロシアのテレビで「将来的に核のない世界を求めていく」と述べた。年内に期限が切れる第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約を巡る米ロ交渉も進み、核軍縮の機運は高まっている。しかし、現状では核抑止力に依存し、核大国の地位を保持したいロシアの思惑がうかがえる。 方針を見直す理由としてパトルシェフ書記は2020年までの国防の力点が大規模戦争から局地的紛争