勝ったのは自民党でもなく、民主党でもなく、「現職」だった。8日投開票された第16回統一地方選挙の前半戦。13都道県知事選に立った9人の現職は、全員当選した。政党の力量よりも、現職を交代させる無党派層のうねりが起きるほど争点が明確にならなかったことが、勝敗を決した。最も注目された首都決戦の東京都知事選で、3選を果たした石原慎太郎氏の戦いも、それを表している。 8日夜、3選を決めた会見で、石原氏に「石原節」が帰ってきた。 選挙戦の当初、逆風にさらされた石原氏と、無党派の風に乗ろうとした浅野史郎氏との接戦が予想された東京都知事選。その結末は約110万票の大差だった。 「ボディーブローが効いている」。告示直前、石原氏は弱気な言葉を漏らした。高額な海外出張費や四男の重用問題が「都政の私物化」と批判を浴びていたからだ。 石原氏を代えるのか代えないのか。それが争点になるかに見えた。 だが、石原氏に投票し