だましの「仮面」を次々と変え、巧妙な罠を仕掛け続ける特殊詐欺。無慈悲な犯罪が奪うのは財産だけではない。だまされたことを周囲に非難されて自らを責め、命を落とすお年寄りもいる。静岡県内で暮らす松山妙子さん(86)=仮名=は「家業を再建する資金になれば」との思いから、宝くじの当せん金を受け取る「手数料」として2千万円以上を支払い、詐取された。親族から疎まれ、心を病んだという。死を思いとどまらせてくれたのは、ある住職との出会いだった。住職の元には、自殺を考える特殊詐欺の被害者からの相談が絶えない。(特殊詐欺取材班) 闇バイト求人「ブラックのお仕事でも大丈夫ですか」 「あの時はただ楽になりたかった。家のどこで首をつろうか、ずっと考えていたの」 静岡県内の住宅街にある小さな一軒家。松山さんは年季の入った居間のかもいを見上げた。一つずつ思い出すようにゆっくりと日記をめくりながら、9年前の出来事を語り始め
