古市 憲寿 慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員 1985年東京都生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍。慶應義塾大学SFC研究所訪問研究員(上席)。大学院で若者とコミュニティについての研究の傍らIT戦略立案等に関わる。 この著者の記事を見る
米アイロボットの家庭用ロボット掃除機「ルンバ」は、購入した消費者の家の掃除をしながら間取り情報を収集し、その収集データを外部企業に販売することも可能だという報道が今年7月に流れ、消費者に衝撃を与えたが、同社はこれを否定している (写真:picture alliance/アフロ) かつて、「(ものを)所有」するということは、小切手を切るのと同じくらい単純な行為だった。何かを購入したら、それを所有することになった。壊れたら修理をするし、不要になったら売るか捨てる、といった具合だ。 一部の企業は、アフターサービス市場で儲ける技を編み出した。有料の長期保証を導入したり、メーカーが認定する修理店を展開したり、あるいはプリンター本体の価格は安く抑えて、定期的に買い替えが必要なインクカートリッジを高値で売りつけるといった手法を発案した。 ただ、利益をさらに絞り出すためのこうした手法が登場しても、何かを「
国の豊かさを測る指標の一つにGDP(国内総生産)があるが、よく知られているように日本はGDPランキングで既に中国に抜かれて第3位になっており、一人当たりGDPもトップクラスではなくなってしまっている。 一方、GDPのようなフローの指標に対し、昨年国連が発表した「包括的富」というストックの指標で見ると、日本は総額で米国に次いで2位、一人当たりは世界一となっている。 以下では、GDPの動向を見たうえで「包括的富」の指標を紹介し、日本の強みと課題を考えてみることにする。 GDPの地位は総額でも一人当たりでも低下傾向 まずは、IMF(国際通貨基金)の“World Economic Outlook Database April 2013”(以下“WEO”)を用いてGDPの国際比較データを確認しておく。GDPの国際比較にあたっては、名目為替レートでドル換算する場合と購買力平価(PPP)で換算する場合と
日経ビジネス11月9日号特集では、日本企業の多くに「デジタル音痴社長」が生息している実情を描きました。欧米と比較して、なぜ日本の社長はITへの理解度が低いのでしょうか。 横塚:日本の経営者は、テクノロジーが自分と関係ないと思っているのでしょう。ITはパソコンを使ったりメールを送ったりするためのもので、本業とはあまり関係ないと考えている。それこそが、日本企業の問題です。 日本企業はITを社内業務の効率化に使っていますが、ITの持つ可能性はそんなものではないはずです。マーケティングやサービス開発に最新テクノロジーを使えば、もっとレベルの高いものを顧客に提供できるのに、十分に使いこなせていません。ビジネスモデルそのものを、テクノロジーを使って大きく変革することも求められています。 大学教育がデジタル音痴の遠因に そういう時代にもかかわらず、日本企業のCEO(最高経営責任者)や商品戦略を担う役員は
日本の経済成長をイノベーションに基づいたものに切り替える必要がある、と言われて久しい。そしてそれには政府による産業政策が有効であるということが長い間言われてきた。こうした、技術革新に基づく経済成長のための産業政策というアイデアの出発点は1980年代に遡る。 1979年、通産省(当時)は「1980年代の産業政策ビジョン」の中で「技術立国」というコンセプトを提唱した。背景には、明治時代から日本が目指してきた「欧米先進国経済へのキャッチアップ」という課題が、1970年代までに完了したという認識があった。 1990年代以降、日本経済が長期停滞に陥ると、技術革新の役割がさらに強調されるようになった。さらに90年代には、製造拠点の海外移転による「空洞化」の解決策として、イノベーションによる新規産業分野の創出が期待された。今世紀に入ってから少子高齢化の問題が顕在化してくると、持続的な経済成長のためにはT
「BABYMETAL(ベビーメタル)」というグループをご存じだろうか。17歳のSU-METAL(中元すず香)、16歳のYUIMETAL(水野由結)、MOAMETAL(菊地最愛)という3人の女性から成る。「アイドル」「カワイイ」といった日本発の文化と、欧米を中心に世界的に根強い人気を集める音楽ジャンル「ヘビーメタル」との「融合」をコンセプトに2010年に結成された。 実はこのベビーメタルは、今、世界の音楽シーンで最も注目を集めている日本人音楽グループなのである。パフォーマンスのレベルの高さやコンセプトの斬新さが高く評価されており、特に海外では「アイドル」という枠組みでは捉えられなくなっている。その人気の秘密を探ると、日本文化の輸出、いわゆるクール・ジャパンの新しい可能性が見えてくるように思う。 ベビーメタルは2014年に無料動画サイト「YouTube」に配信された楽曲「ギミチョコ!!(Gim
「半世紀前に立てられたスタジアムでも、10年前に立てられたような新鮮な印象を与え続けるものもあれば、75年前に立てられたように古びて感じるものもある。その違いを生むものは何だか分かりますか?」 これは、先月サンフランシスコで開催された「スポーツ施設&フランチャイズ2015」(以下、SFF)のとあるセッションでの一幕です。SFFは、米国でスポーツ組織の経営者を主な読者に持つ業界誌「スポーツビジネス・ジャーナル」が毎年開催するカンファレンスで、最新のスポーツ施設経営に関するノウハウや事例を2日間にわたって共有するものです。私も定期的に参加しています。 冒頭の質問は、米メジャーリーグ(MLB)のサンフランシスコ・ジャイアンツの球団社長兼CEOであるラリー・ベアー氏への単独インタビューで、同氏が会場の参加者に投げかけたものです。サンフランシスコ・ジャイアンツと言えば、その本拠地AT&Tパーク(20
広野 彩子 日本経済新聞社NAR編集部次長 朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。 この著者の記事を見る
山本一郎です。酒をかなり減らしたら4kg痩せました。酒太りは危険ですねえ。 諸事事情があって、先日大物外国人であるギャビー・サンチェスさんがファームにやってきました。これといって故障があるわけではなく、ただ極度のインサイドアウトなフォームでコンパクトに鋭く振り切るスタイルで取り組んできた分、日本の野球に戸惑いがある部分が感じられました。何より本人は物凄く良い人なので少しリフレッシュして一軍に送り返してあげたいということで、コーチや通訳の皆さんの献身的なフォローで技術的にも精神的にも立ち直って一軍に帰っていきました。ああ、野球は数字だけではなく人間がやっているものなのだなと実感するところです。 我らがデーブ大久保監督もサンチェスさんについてはかなり気にしておられました。 デーブ監督「で、サンチェスさんはどう?」 わたくし「結構良い感じで3DBEDDCです」 デ「何でパワプロで表現するんだよ!
これまで一貫して、人と機械が各々得意な能力を組み合わせて豊かな生産、生活が実現するという楽観論を展開してまいりました。膨大なデータに基づくランキング、判断や、超高速に力ずくですべての可能性を計算できる能力では、機械はほぼヒトを凌駕してしまうことでしょう。しかし、前回記事で触れたフレーム問題や、将棋で王手をかけられたら回避すべしといった基本原理の理解不足の類により、人がまだまだ優位な点が向こう数十年は残ると思います。 将来、量子コンピュータなどの仕組み(アーキテクチャ)が飛躍的に進化するまでは、人間が未知の事態等に世界知識・教養を駆使して対応し、「適当に」計算を打ち切って妥当な判断を下す能力によって、高速に大量のデータ、パターンと照合するという力技では解決でき難い問題を解く役割が続く、ということであります。 最適化の計算や、チェスや将棋の如き知的、論理的判断、シミュレーションのような課題です
相次ぐ「少年事件(この場合の少年とは、「満20歳に満たない者」を意味する)」が注目を集めている。川崎市で中学1年生を殺害した容疑で神奈川県警は先月末、少年3人を逮捕した。今年1月、名古屋市の女性殺害事件で大学生が逮捕され、昨年7月には長崎県佐世保市で高校生が同級生を殺害する事件が起きた。 2014年4月には改正少年法が成立し、少年事件は厳罰化の方向にある。しかし実は、少年による凶悪犯罪の件数は劇的に減っている。 少年事件はなぜ大々的に報じられるのか。加害少年の「心の闇」とは一体何か。 NHK「週刊こどもニュース」の「初代お父さん」を務めたジャーナリスト・池上彰氏と、2004年の佐世保小6同級生殺害事件を描いたノンフィクション『謝るなら、いつでもおいで』(集英社)の著者で毎日新聞記者の川名壮志氏が語り合う。 (対談は2月7日に実施した。構成は外薗 祐理子) 池上彰(いけがみ・あきら)氏 ジャ
今回の選挙、すごいことになってますね。選挙が終わって週の後半になっても、まだ解散した意味や投票率の低さを嘆く声が目立っています。こんな選挙は今までになかったのではないでしょうか。 コミュニケーション上では、たくさんの人が同じようなことを言い出したら危険信号です。今回はそんな観点から選挙を考えてみたいと思います。 ネット動画はアイデアの宝庫、それでは今週もいってみましょう。 選挙結果への不満を投票率のせいにしてませんか 12月14日の衆院選挙。急な解散を受けて候補者が揃えられないとか、対立軸がはっきりしない・受け皿がないとか、話題はいろいろありましたが、結果としては解散の意味を疑問視されながらも与党は議席を守り、野党第一党の党首自身が落選し、代わりに共産党が議席を倍増させ、投票率が戦後最低の52.66%だった、などが注目されたポイントでしょうか。 中でも際立っているのが、開票が始まった直後か
日本になぜグーグルのような会社ができないのか――。 古くはマイクロソフト、最近ではグーグル、フェイスブックなど、アメリカではテクノロジーに強みを持つ企業が多数登場している。日本でも、LINEなどの世界的に影響を与える会社が登場しつつあるとはいえ、アメリカに比べれば圧倒的に数が少ない。 この理由として、日本人は新しいことにチャレンジしたがらない、ベンチャーキャピタルなどの投資環境が整っていない、前例主義や過去の実績を重視するのでベンチャー企業の製品やサービスを敬遠しがち、などがよく挙げられる。 だが、「日本ではエンジニアが評価されない」ことが、大きな阻害要因になっているのではないかと、ギノの片山良平CEOは指摘する。 ギノは、ITエンジニア(システムエンジニア)に実際にプログラム(コード)を書いてもらって技術を評価するサービス「paiza」(パイザ)を昨年10月に開始したベンチャー企業。これ
1人ひとりの成果を、複数の“ものさし”を使い、ライバルと比べながら、その特性を分かりやすく示す─。プレゼンテーションなどをする上で、こんなことを実現したい人は少なくないだろう。今月は、その例として、日本のプロ野球で活躍した多くの選手の打撃成績を可視化した、ビジュアライゼーションを紹介する。 電通の近藤康一朗氏が作成した下のマップは、1990年から2013年まで、日本のプロ野球の1軍公式戦に出場した選手をピックアップ。それらの選手の25歳から40歳までの年度別最終成績をデータとして蓄積し、BIツールの「Tableau」と統計解析ソフトウエアの「R」を連携させて分析したもの。縦軸がホームラン本数、横軸が打率を示す。1シーズン100試合以上出場という条件で選手を絞り込み、各年度の成績の平均値を用いてマップの中に配置。ピックアップした全選手の平均成績をk-meansクラスタリングを用いて、パワー型
広野 彩子 日本経済新聞社NAR編集部次長 朝日新聞記者を経て日経ビジネス記者、2013年から日経ビジネス副編集長。日経ビジネスオンラインでコラムの執筆・編集を担当。入山章栄氏の著作『ビジネススクールでは学べない 世界最先端の経営学』を担当。 この著者の記事を見る
和田 智(わだ・さとし) カー&プロダクトデ ザイナー、SWdesign代表取締役 1961年東京生まれ。武蔵野美術大学卒。84年日産自動車入社。シニアデザイナーとして、初代セフィーロ(88年)、初代プレセア (89年)、セフィーロワゴン(96年)などの量販車のデザインを担当。89~91年、英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート留学。日産勤務時代最後の作品として電気自動車ハイパーミニをデザイン。98年、アウディAG/アウディ・デザインへ移籍。シニアデザイナー兼クリエーティブマネジャーとして、A6、Q7、A5、A1、A7などの主力車種を担当。アウディのシンボルとも言えるシングルフレームグリルをデザインし、その後「世界でもっとも美しいクーペ」と評されるA5を担当、アウディブランド世界躍進に大きな貢献を果たす。2009年アウディから独立し、自身のデザインスタジオ「SWdesign 」を設立。独立後
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