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ブックマーク / blog.tatsuru.com (7)

  • 近代市民社会の再興のために - 内田樹の研究室

    『月刊日』8月号にロングインタビューが掲載された。「野蛮への退行が始まった」というタイトルだけれど、私が言いたかったのは「近代市民社会を再興しなければならない」という話である。 ― 現在、世界は歴史的な大転換を迎えています。今、世界では何が起きていると考えていますか。 内田 今起きているのは「近代の危機」だと思います。近代市民社会の基理念は「公共」です。その「公共」が危機的なことになっている。 ホッブズやロックやルソーの近代市民社会論によると、かつて人間は自己利益のみを追求し、「万人の万人に対する闘争」を戦っていた。この弱肉強の「自然状態」では、最も強い個体がすべての権力や財貨を独占する。でも、そんな仕組みは、当の「最強の個体」についてさえ自己利益の確保を約束しません。誰だって夜は寝るし、風呂に入るときは裸になるし、たまには病気になるし、いずれ老衰する。どこかで弱みを見せたら、それで

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    cartman0 2024/07/21
  • 民主政の終わり - 内田樹の研究室

    都知事選の翌日にニッポンドットコムという媒体からインタビューを受けた。以下はその記事に少しリタッチしたもの。 今回の都知事選では、選挙は民主主義の根幹を為す営みであるという認識がかなり深刻な崩れ方をしているという印象を受けた。選挙というのは有権者が自分たちの立場を代表する代議員を選ぶ貴重な機会であるという認識が日からは失われつつあるようだ。 投票する人たちは「自分たちに利益をもたらす政策を実現してくれる人」を選ぶのではなく、「自分と同じ部族の属する人」に投票しているように私には見えた。自分と「ケミストリー」が似ている人間であるなら、その幼児性や性格の歪みも「込み」で受け入れようとしている。だから、仮に投票の結果、自分の生活が苦しくなっても、世の中がより住みにくくなっても、それは「自分の属する部族」が政治権力を行使したことの帰結だから、別に文句はない。 自分自身にとってこの社会がより住みよ

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    cartman0 2024/07/12
    ほんまこれ。エンタメ化してるんよね
  • フリーライダーの効用 - 内田樹の研究室

    高齢者の集団自決が高齢化対策の秘策であると公言した若い経済学者の発言が話題を呼んでいる。 彼の言う「人間は引き際が重要だと思う」ということにも「過去の功績を使って居座り続ける人がいろいろなレイヤーで多すぎる」という事実の摘示にも私は同意する。でも、使えないやつは有害無益だから、集団から追い出すべきだという論には同意しない。人道的な立場からというよりは組織人としての経験に基づいてそう思うのである。 組織に寄生して、何も価値を生み出さず、むしろ新しい活動の妨害をする「フリーライダー」はどのような集団にも一定数含まれる。この「無駄飯い」の比率を下げることはたしかに集団のパフォーマンスを向上させることにある程度までは役立つだろう。ただし、「ある程度」までである。というのは「無駄飯いの排除」作業に割く手間暇がある限度を超えると、その作業自体が集団のパフォーマンスを著しく低下させるからである。 組

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    cartman0 2024/03/11
    すべての分野においてフリーライダーになるなんて不可能でしょ。ある分野ではフリーライダーにならない
  • 文字の書けない子どもたち - 内田樹の研究室

    高校の国語の先生から衝撃的な話を聴いた。生徒たちが文字を書けなくなっているというのである。教科書をただノートに筆写するだけの宿題を毎回課すが、やってくるのは半数以下。授業中に書いた板書をノートに写すようにという指示にも生徒たちは従わない。初めはただ「怠けているのか」と思っていたが、ある時期からどうもそうではないらしいことに気がついた。 『鼻』の作者名を問うテストに「ニコライ・ゴーゴリ」と答えを書いた生徒がいた。ゴーゴリもその名の短編を書いているが、教科書で読んだのは芥川龍之介である。どうしてわざわざゴーゴリと書いたのか生徒に訊ねたら「漢字を書くのが面倒だったから」と答えたそうである。 生徒たちの提出物の文字が判読不能のものが増えて来たという話は大学の教員たちからも聴く。学籍番号までは読めるが、名前が読むのが困難で、コメントの文字に至ってはまったく解読不能のものが少なくないという。何を書いた

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    cartman0 2024/02/27
    時間かかるのもネックやからな
  • 複雑な話は複雑なまま扱うことについて - 内田樹の研究室

    「複雑な現実は複雑なまま扱い、焦って単純化しないこと」というのは私が経験的に学んだことの一つである。「その方が話が早い」からである。話は複雑にした方が話が早い。私がそう言うと、多くの人は怪訝な顔をする。でも、そうなのだ。いささか込み入った理路なので、その話をする。 私は人も知る病的な「イラチ」である。「イラチ」というのは関西の言葉で「せっかち」のことである。どこかへ出かける時も、定時になったらメンバーが全員揃っていなくても置いてでかける。宴会でも時刻が来たら来賓が来ていなくても「じゃあ、乾杯の練習をしよう」と言ってみんなに唱和させる(来賓が着いたら「乾杯の儀に粗相があってはならないので、繰り返しリハーサルをしておきました」と言い訳する)。 そういう前のめりの人間なので、当然ながら話をする時も最優先するのは「話を先に進めること」である。ぐずぐずと話が停滞することも、一度論じ終わったことを蒸し

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    cartman0 2022/08/14
    単純化するとスコープ丸まって、正しいのに例外発生するのよね
  • 部活は生き残れるか - 内田樹の研究室

    『週刊金曜日』に部活の地域移管について書いた。 文科省とスポーツ庁が主導して、公立中学校での部活の「地域移管」が進められている。来年度からまず運動部の地域移管が始まり、文科系部活についても来月には提言がまとめられるという。 勝利至上主義に毒された指導者が生徒の人格を否定するような暴言を吐き、体調を崩すほどの長時間拘束を強いる「ブラック部活」はない方がましだと私は思う。 一方で、教員にとっての負荷も過大なものになっている。部活の顧問になって休日返上して指導に当たった教員が心身を病むという事例も報告されている。 生徒も苦しみ、教員も苦しんでるのだから、そんな部活はアウトソースすればいいというのがこのたびの「地域移管」の理由だ(と私は思っている)。 むろん文科省はそんなことは言わない。地域移管は「少子化による廃部で、子どもの選択肢が減っているので、もっと多様な選択肢を提供する」「専門家による指導

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    cartman0 2022/06/27
    部と言う割には個人罵倒みたいな話多すぎよな
  • 大学院の変容・貧乏シフト - 内田樹の研究室

    毎月ある地方紙にエッセイを寄稿している。これは8月分。 人口当たりの修士・博士号取得者が主要国で日だけ減っていることが文科省の調査で判明した。これまでも海外メディアからは日の大学の学術的生産力の低下が指摘されてきたが、大学院進学者数でも、先進国の中でただ一国の「独り負け」で、日の知的劣化に歯止めがかからなくなってきている。 人口当たりの学位取得者数を2014~17年度と08年度で比べると、修士号は、中国が1.55倍、フランスが1.27倍。日だけが0.97倍と微減。博士号は、韓国が1.46倍、イギリスが1.23倍。日だけが0.90倍と数を減らした。 当然だと思う。さまざまな理由が指摘されているけれど、一言で言えば「大学院というところが暗く、いじけた場所になった」からである。若くて元気な人間なら、せっかくの青春をそんなところで過ごしたくはない。 と書いておいてすぐに前言撤回するのも気

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    cartman0 2018/09/10
    まあこういうのあるから専門の前に実務教えろってなるんやろな,現教員もドンだけ実務レベルでできるのか知らんけど
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