人口減少問題は、社会の貧困や格差を加速化させるのだろうか。思想家・内田樹氏は「持ち出し覚悟で、リターンなし」のマインドから立ち上がる相互支援の共同体こそが解決の鍵になるという。共同保育から合同墓まで、内田氏のまわりで実際に行われている相互扶助の実践から「人口減少社会」への処方箋を示すインタビュー第2弾。 前回「内田樹が語る高齢者問題」より続く ◆◆◆ 分配がフェアであれば、貧困にも耐えられる ――内閣府の発表によると、日本の子どもの相対的貧困率はOECD加盟国34か国中10番目に高く、別の調査では、高齢者単独世帯における男性の相対的貧困率が29.3%、女性は44.6パーセントにも及びます。人口減少は貧困をより深刻化させるのでしょうか。 内田 経済が右肩下がりになる中でこうした数字を聞くと、たしかに悲観的な気持ちになるのかも知れません。でも、経済指標の数値と人の幸不幸というのは完全な相関関係
