<北極ならではの道具を活用。18世紀から語られてきた伝承が、研究によって真実だと証明された> どう猛な性格と同時に、純白の毛皮が愛らしささえ感じさせる不思議なホッキョクグマ。そんな北極圏の主に、賢いという新たなイメージが加わることになりそうだ。最新の論文により、道具を使って狩りをするという生態が明かされた。 今回その生態に迫ったのは、カナダ・アルバータ大学の生物学研究者であるイアン・スターリング博士だ。ホッキョクグマ研究の権威である博士は、今年80歳という年齢ながら精力的に研究をこなす。博士は現地に残る伝承や研究者たちの目撃談、そして飼育下にある近縁種のクマの行動を分析することで、ホッキョクグマが道具を駆使するという結論を導き出した。 ホッキョクグマは主食のアザラシに加え、魚類のほかセイウチなどを捕食する。アザラシを捕らえる場合は噛み付くことでダメージを与えられるのだが、ぶ厚く頑丈な頭蓋骨