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ブックマーク / honz.jp (31)

  • 『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ

    ひさしぶりに会った知人の変貌ぶりにショックを受けることがある。書を書店で見かけた時の驚きもそれに近い。表紙の男性と著者名が一瞬つながらず、人だと気づいて衝撃を受けた。別人のように痩せている。それも何か大病を患ったことをうかがわせるような痩せ方ではないか。 90年代からゼロ年代を通じた福田和也の活躍ぶりは、まさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」という言葉がぴったりだった。「月300枚書く」と人が言っていたように、文芸評論や時事評論、エッセイ、コラムを書きまくり、ワイドショーのレギュラーコメンテーターを務め、文芸誌『en-taxi』を編集し、母校である慶應大学の教壇にも立った。当時、夜の街でもしばしば著者を見かけた。バリバリ仕事をしつつ遊びもこなす姿が眩しかった。 著者を知ったのは学生時代のことだ。江藤淳に才能を見出されたというふれこみで、雑誌『諸君!』でいきなり連載が始まった。破格の扱いだった。

    『保守とは横丁の蕎麦屋を守ることである』書けなくなった批評家を救ったもの - HONZ
  • 『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ

    エジソンやビル・ゲイツもそうなのだという。あるいは、ピアニストのグレン・グールドや、バスケットボール選手のコービー・ブライアントも。彼らはみな「パターン・シーカー」、すなわちパターン探しの達人であると考えられる。そして、そのようなパターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきたのだと書は主張する。 書の著者は、イギリスの著名な心理学者サイモン・バロン=コーエンである。彼が「パターン・シーカーこそが人類の偉大な発明を導いてきた」と言うとき、その意味するところはふたつある。ひとつは、上で述べたように、偉大な発明家の多くが卓越したパターン・シーカーであること。そしてもうひとつは、ヒトが身につけたパターン探しの能力こそが、ヒトの進化史において偉大な発明を導いてきたということである。 ならば、そのパターン・シーカーという特性はどのようなものだろうか。それは、簡単に言えば、一見しただけでは明ら

    『ザ・パターン・シーカー──自閉症がいかに人類の発明を促したか』 if-and-then思考とハイパー・システマイザー - HONZ
    ch1248
    ch1248 2022/12/20
    著者は有名な「サリーとアン課題」の先導実施者なので、この分野での著名な人物の1人ですね。
  • 『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ

    「その悩み、○○学ではすでに解決しています」みたいなタイトルのを見かけることがある。あなたが日々の仕事で直面する悩みや課題は、すでに最新の学説や理論で解決済みですよ、というわけだ。 だが当にそうだろうか。最新の学説や理論を応用すれば、世の中の問題はたちどころに解決するものだろうか。 著者は政治学を専門とする大学教授である。「話すも涙、聞くも大笑いの人生の諸々の事情」があって、47歳にして人の親となった。小学校のママ友やパパ友のほとんどは干支一回り以上年下だ。そんなママ友からある日「相談があります」と呼び出され、いきなりこんなお願いをされた。 「来年、PTA会長になってくれませんか?」 まさに青天の霹靂だ。驚いた著者は必死に出来ない理由を並べ立てる。「フルタイム・ワーカー」だから無理!「理屈っぽくて、短気で、いたずらにデカいジジイ」だから無理!ところがママ友は決してあきらめず、最後は情に

    『政治学者、PTA会長になる』これぞ街場の民主主義!政治学者が世間の現実と向き合った1000日の記録 - HONZ
    ch1248
    ch1248 2022/05/24
    気になるな。
  • 『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ

    小学校に通う子どもの通知表を見ていたときのことだ。教科ごとに4つの評価項目が設けられているが、「社会」のところに「おや?」と目が留まった。項目がすべて同じ文章になっている。「もしかして誤記?」と思ったのだ。 よくよく見ると同じ文章ではなかった。だが、勘違いするのも無理はない。「我が国の歴史や伝統、世界の国々に〜」「我が国の歴史や伝統の意味について考え〜」など冒頭がすべて同じ文言だったのだから。なにこれ? 2017年、初めて行われた道徳の教科書検定が話題となった。ある教科書に載った教材に文部科学省が意見をつけ、教材に取り上げられた店が「パン屋」から「和菓子屋」に変更されたのだ。 文科省は具体的な差し替え箇所を指示したわけではないというが、教科書全体を通して「我が国や郷土の文化に親しみ、愛着をもつ」点が不足していたと説明している。パン屋よりも和菓子屋のほうが我が国の伝統にかなっているということ

    『掃除で心は磨けるのか いま、学校で起きている奇妙なこと』ある特定の方向へ誘導する教育の問題 - HONZ
    ch1248
    ch1248 2019/04/20
    親は道徳教育を選ぶ権利が欲しいね……。
  • 最近海外の人が増えたなあ。そんな人は『ふたつの日本』を。 - HONZ

    コンビニのレジの人、どこの国の人だろう? 技能実習生が失踪って、なぜそんなことに? 移民に関する政策ってどうなっている? 日に「暮らす」在留外国人はすでに263万人、日の人口の約2%だ。ただ、その内訳は思った以上に複雑だ。周りに外国人は増えていくのに、自分は対応できていないような。この、大きすぎてわからない問題をクリアに「見える」化してくれる、しなやかな一冊の登場だ。 「移民」を真っ向から丹念に書く著者の望月優大さんは、1985年生まれ。経歴が華やかで、東大で修士課程を終えた後、経済産業省、グーグル、スマートニュース、を経て独立し、現在は株式会社コモンセンスの代表をつとめる。 最近では「ニッポン複雑紀行」なるウェブマガジンで、その文章をご覧になった方もいるかもしれない。 これは「日の移民文化・移民事情を伝える」ことを目的とした、難民支援協会のウェブマガジンで、望月さんはライター兼編集

    最近海外の人が増えたなあ。そんな人は『ふたつの日本』を。 - HONZ
  • ゲームと共に生きる。『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』 - HONZ

    人生を振り返ってみると、いつもその傍らにはゲームがあった。 プレイヤーの目の前に展開するゲームプログラムは誰にとっても同じものだが、ゲームがもたらす最終生産物は、プレイヤー各々にとって異なる「固有の体験」だ。僕の「初代ポケモン」と、誰かの「初代ポケモン」の思い出は大きく異なる。なにしろ、僕にとってのポケモンは、一緒に分担しながらポケモンを捕まえて、バグ技を共有して喜んだ友人たちの存在なくして語れない。 ゲームはやりすぎると現実を侵してくる。4つ同じ色の物が並んでいたら消えないかなと思うし、『GRAVITY DAZE』をやれば町中を飛び回る自分の姿をイメージし、『アサシンクリード』シリーズをやれば建物をどうやってよじ登ったらいいかを考え始めるようになる。書『ゲームライフ』は、そんなゲームと共に生き、実生活が侵された人間の人生を綴った回顧録である。 ゲームを批評するではないし、ゲーム

    ゲームと共に生きる。『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』 - HONZ
  • とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ

    どうやったら、我々人間は動物の感覚にもっと近づくことができるのだろう。たとえばアナクマのように巣穴で眠り、森を徘徊して獲物を物色する。たとえばカワウソのように水辺に住んで魚やザリガニをべて生き、ツバメのように空を飛び、糞を撒き散らす。そうやって動物たちと同じように生きたら、彼らがみている世界を追体験できるのではないだろうか? そんな、言っていることはわからないでもないが自分でやろうとは思わないことをまともにやってしまった狂人が、書の著者であり、2016年のイグノーベル賞の生物学賞を受賞したチャールズ・フォスターである。狂人とは言い過ぎで、著者に対する敬意を欠いているのではないか? と思うかもしれないが、この記事を読み進めてもらえればその事実が把握いただけると思う。 人間とキツネなど他の動物たちとの間には境界があると著者はいう。それは当然だ。我々はキツネと子どもを作ることはできないし、カ

    とてつもなく変態で、ありえないほど文章がうまい──『動物になって生きてみた』 - HONZ
  • 『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ

    「動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか」。ずいぶん挑戦的な問いかけであるが、書の内容もそれに負けず劣らず挑戦的である。 フランス・ドゥ・ヴァールは、ベストセラー『チンパンジーの政治学』といった著書もある、世界的に著名な霊長類学者である。そんな彼が書で試みていることはおもにふたつある。ひとつは、彼の提唱する「進化認知学」というアプローチを明らかにすること。そしてもうひとつは、「唯一無二の人間」という見方(ないし偏見)を克服することだ。 第一の点について、象徴的なエピソードから始めよう。テナガザルは樹上性の小型類人猿で、ヒトや大型類人猿とも近縁な存在である。だがそんなテナガザルが、かつて行われた認知テストで意外なほど成績がわるかった。そのテストとは、棒を拾い上げてべ物を引き寄せるという一見単純なものである。では、そんなテストでさえうまくパスできないのだから、テナガザルは「愚か」だというこ

    『動物の賢さがわかるほど人間は賢いのか』 進化認知学、そして「唯一無二の人間」という見方からの脱却 - HONZ
  • 『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方文庫解説 by 橘 玲 『子育ての大誤解』は掛け値なしに、これまででわたしがもっとも大きな影響を受けたのひとつだ。なぜなら長年の疑問を、快刀乱麻を断つように解き明かしてくれたのだから。 いまでいう「デキ婚」で24歳のときに長男が生まれたのだが、その子が中学に入るくらいからずっと不思議に思っていたことがあった。親のいうことをきかないのだ、ぜんぜん。13、4歳のガキと30代後半の大人では、経験も知識の量も圧倒的にちがう。どちらが正しいかは一目瞭然なのに、それを理解できないなんてバカなんじゃないのか、と思った。 しかしよく考えてみると、自分も親のいうことをまったくきかなかった。だとすればこれは因果応報なのだとあきらめたのだが、それでも謎

    『子育ての大誤解 重要なのは親じゃない 』「言ってはいけない」真実が示す、親と子の幸福なあり方 - HONZ
    ch1248
    ch1248 2017/08/23
    レビューとしては主題がふわっとしてる。旧版はKindle版含めて既に売ってたのな。
  • 『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』爆笑必死の科学エッセイ いったい彼らは何者か? - HONZ

    このを不用意に通勤電車の中で読んではいけない。爆笑必至のサイエンスエッセイなのだ。なんとか笑いを噛み殺しながら読み進めても、どこかで我慢の限界を突破して大笑いしてしまうこと請け合いだ。しかも、のタイトルには「鳥類学者」という、お笑いとはほど遠い言葉が入っているのだから、まわりの人からは奇人だと思われるであろう。 著者は現役バリバリの鳥類研究者。森林総合研究所の主任研究員だ。鳥の生態などを研究するため、小笠原群島を拠点としてフィールドワークを重ねている。書でも東京から1300キロほど南にある絶海の孤島、南硫黄島での壮絶な調査の様子などを垣間見ることができる。 この4月に噴火再開が確認された西之島にも過去何度も訪れている。上陸できなかった時期も無人機での調査だ。後日、航空写真を調べてみるとカツオドリらしきものが写っていたという。撮影されたのが12月25日だったので、著者はすかさず「もちろ

    『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』爆笑必死の科学エッセイ いったい彼らは何者か? - HONZ
  • あの時、アメリカで何が起こっていたのか──『セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争』 - HONZ

    PS4とSwitchが盛況な現代だけれども、かつてはセガと任天堂が覇権をめぐり争っていた日々があった。日視点でみるとあまり印象が強いわけではないが、メガドライブ(北米版はジェネシス)がアメリカでは任天堂のシェアを上回るなど、互角の戦いを繰り広げていた時代があるのだ。 書はそうしたハード戦争においてセガが任天堂に対抗できていた一時代を、主にアメリカ(セガ・オブ・アメリカ(SOA)、ニンテンドー・オブ・アメリカ、ほんの少しソニー)の視点から、数百のインタビューを元にストーリー仕立てで構成してみせた一冊になる。基的にはセガ視点が多めで、その中でもSOAの社長であるトム・カリンスキーを主人公として物語は展開していく。 強固な哲学と資金力を持った圧倒的な敵(任天堂)に対して、資金力で劣るものの打倒任天堂の大望を持ち、新しいマーケティングや新技術を駆使して戦うSOA。そしてSOAの度重なるビジネ

    あの時、アメリカで何が起こっていたのか──『セガ vs. 任天堂――ゲームの未来を変えた覇権戦争』 - HONZ
  • 『仁義の報復』腹心を惨殺された元ヤクザの親分が語る、埼玉愛犬家殺人事件の真実 - HONZ

    1993年、埼玉県大里郡で起きた「埼玉県愛犬家殺人事件」。若い人は記憶がないかも知れないが、ペットショップを営む関根元と風間博子の夫(姓が異なるのは偽装離婚済み)が判明しているだけで客など4人を殺した事件は当時、世間を震撼させた。この事件を下敷きに、鬼才・園子温映画『冷たい熱帯魚』を制作しているが実際の事件の残忍さはかなり抑えられている。 80年代後半のバブル期、夫は空前のペットブームの波に乗り、高級犬の投機で成功。財をなしたが、バブル崩壊後には設備の投資や維持費が重くのしかかり、負債だけが残った。そうした中、彼らが生み出した「ビジネスモデル」はあまりにも卑劣だ。 言葉巧みに、高級犬とはいえ、市価の100倍の値段で売り、その後に売り先の家に忍び込み、盗み出したり、殺したりしてしまう。顧客の悲しみにつけ込み、もう一度、ペットを売りつける。当然、気づく客もいるわけだが、ばれたら殺してしま

    『仁義の報復』腹心を惨殺された元ヤクザの親分が語る、埼玉愛犬家殺人事件の真実 - HONZ
  • ウンコのうんちく、てんこ盛り 『トイレ 排泄の空間から見る日本の文化と歴史』 - HONZ

    はばかりと呼ばれることがあるほどに、口にすることが憚られがちなトイレである。毎日必ずお世話になるにもかかわらず失礼なことだ。そのトイレを巡っての、うんこ話じゃなくてうんちく話が、うんこ盛りじゃなくててんこ盛りの一冊だ。編著者は『屎尿・下水研究会』である。会員は20名ほどだが、その職種が便器の設計者や紙の研究家、屎尿処理行政担当者など多岐にわたっているだけあって、ほんとに様々な話題がちりばめられている。 意外にも、世界最古のトイレは水洗だった。メソポタミア文明のエシュヌンナ遺跡から見つかった紀元前2200年ころのものである。日でも、縄文時代の遺跡から桟橋式のトイレが発掘されている。まさに「かわや」だ。どちらも水洗とはいえ、基的には川に流してるだけですけど、まぁ、道糞してほっとくよりは、うんこまし、じゃなくて、うんとましですわな。 近代的な意味での水洗トイレは、エリザベス女王のため1597

    ウンコのうんちく、てんこ盛り 『トイレ 排泄の空間から見る日本の文化と歴史』 - HONZ
  • 『周―理想化された古代王朝』 - HONZ

    中国では、常に古代の聖天子の時代が憧憬される。伝説の堯や舜はともかく実在が確実視される周の文王や武王、周公旦の時代である。周は約800年続いたが、これまで意外なことに読みやすい通史がなかった。書は待望の1冊である。 従来の中国の古代史は概ね司馬遷の叙述(史記)など伝世文献に依拠してきたが、当時の金文(青銅器に彫られたもの)や竹簡などの同時代資料が陸続と発掘されるにつれ、古代王朝の実像が少しずつ詳らかになってきた。著者は、伝世文献と出土文献をバランスよく渉猟し、周を読み解くキーワードとして祀(祭祀)と戎(軍事)を取り上げた。なるほど、切れ味はよさそうだ。 殷(商)を倒して周が成立した牧野の戦い(BC11世紀後半)。これは関ヶ原のような大決戦ではなくむしろ桶狭間のような戦いであったようだ。2代成王の時代に殷の遺民が反乱を起したが、成王は東征してこれを抑え洛陽に新しい拠点をつくって諸侯を封建し

    『周―理想化された古代王朝』 - HONZ
  • 『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ

    ニワトリ無くして、人類無し! もし世界からニワトリが消えたなら? きっと各地でパニックが起きるに違いない。鶏肉は牛肉・豚肉などと比べて国際的な生産・消費量が急増しており、とりわけ新興国・途上国での需要がぐんと伸びている。安価で栄養価の高い肉や卵は、多くの庶民の健康を陰で支えてきた。 その膨大な加工品も含めて、人類にとってますます不可欠な材となり、成長する巨大都市のエネルギー源にもなっている。 もし私たちが他の惑星へ移住する時がきたならば、最も重要なタンパク源としてニワトリをまず同行させるだろう。実際、NASAはニワトリが惑星間旅行に耐えられるかどうかの実験をしており、可能と結論づけている。 材だけではない。インフルエンザの世界的流行をい止めるのにも、ニワトリは重要な役割を担っている。インフルエンザワクチンを作る入れ物として、卵が使われているのだ。 「宇宙船よりも複雑な構造」を持つ卵

    『ニワトリ 人類を変えた大いなる鳥』 - HONZ
  • 『タングステンおじさん』化学にのめり込んだ、少年時代のオリバー・サックス - HONZ

    稀代の書き手であったオリバー・サックスが亡くなって1年(8月30日が命日)。『タングステンおじさん』は、2001年に単行として刊行され、このたび文庫化された作品ですが、私は単行を読んでいなかったので、この文庫版を手に取りました。だって、なんて魅力的なタイトルなのでしょう!(うかつにも読んでなかったわたし…) すこし回想めきますが、私がオリバー・サックスという名前を意識するようになったのは、今から22年前、The New Yorkerに、An Anthropologist on Mars (火星の人類学者)という記事が掲載されたときのことでした。自閉症の動物学者テンプル・グランディンに取材したこの作品を引き込まれるように読んだ私は、これはすごい書き手だ! と思い、それ以来、サックスの記事が載るのを楽しみにするようになりました。 実はこの「火星の人類学者」は、のちに映画化される『レナードの

    『タングステンおじさん』化学にのめり込んだ、少年時代のオリバー・サックス - HONZ
  • 『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 - HONZ

    読書の醍醐味の一つは、自分の先入観や固定観念、常識を覆され、視野が拡がり、新しい目で物事を眺められるようになること、いわゆる「目から鱗が落ちる」体験をすることだろう。読んでいるが、難しい言葉で書かれた抽象論だらけではなく、一般人でも隔たりを感じずに、すっと入っていける内容がわかりやすい言葉で綴られているものだと、なおありがたい。まさにそのような醍醐味を満喫させてくれるのが書『サピエンス全史』だ。 だからこそ、書は30か国以上で刊行されて世界的なベストセラーとなり、「ウォールストリート・ジャーナル」「ガーディアン」「フィナンシャル・タイムズ」「ワシントン・ポスト」などの主要紙が称賛し、『銃・病原菌・鉄』の著者ジャレド・ダイアモンドも推薦しているのだろう。ノーベル賞を受賞した行動経済学者のダニエル・カーネマンは感銘を受けて二度も読み、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグも「今年の一冊」

    『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』 - HONZ
  • 『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』シャープの盛衰を決めた「伝説の技術者」 - HONZ

    ビル・ゲイツの功績を一つだけ挙げよと聞かれたら、かならずこう答えている。それはOSを標準化したことではなく、集積回路すなわちLSIの価格を劇的に下げたことだと。 1965年、インテル創業者の1人であるゴードン・ムーアは「ムーアの法則」を発表した。その法則とはLSI上のトランジスタ数は18ヶ月ごとに2倍になるというものだ。近年にいたるまでこの法則は現実と符合していた。 しかし、トランジスタ数がまさに倍々ゲームで増加しても、LSIの価格はむしろ劇的に低下していった。50年前の大型コンピュータをはるかに凌ぐ性能を持つCPUチップを、いまでは100円以下で買うことができるのだ。 安くなった要因は、トランジスタの集積率が上がったために原価が下がったからだけではない。ICを利用した機器が大量に販売されたからでもある。 ビル・ゲイツはOSをIBMに売り渡すのではなく、IBMの競争相手であるNECなどにも

    『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』シャープの盛衰を決めた「伝説の技術者」 - HONZ
  • 『ミャオ族の刺繍とデザイン』深い祈りと神話の世界を身に纏う - HONZ

    中国大陸の南西部を中心に定住する少数民族・ミャオ族。かつては稲作の民として知られたが、気象変動や土地争いなどにより今は山の民として暮らしている。 そんなミャオ族には日人のルーツではないかという説があったり、自然を崇拝していたり、納豆をべていたりと、知れば知るほど親近感のわく存在なのだが、刺繍・染め・織といった女性たちの手仕事にも定評があり、そのレベルの高さには驚かされる。

    『ミャオ族の刺繍とデザイン』深い祈りと神話の世界を身に纏う - HONZ
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    プロレスには人生の大切な全てが詰まっている!『パパはわるものチャ... 2018年09月23日 プロレスは人生の縮図だ。 人生では勝つことも負けることもあるけれど、勝ってばかりだと面白くないし、反対に負けてばかりでもやるせない。 絶対に勝たなければいけない時もあるし、勝ちを譲った方が良い場面...

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