近年、がん治療における化学療法は目覚ましい進歩をつづけており、それに伴い医療スタッフが取り扱う抗がん剤の種類や量も増加しています。抗がん剤は患者に適切に投与することでの効果が高い半面、取り扱う医療従事者の健康にも影響を及ぼす薬剤(Hazardous Drugs: HD)であるという概念は、国内ではあまり普及しておらず、ばく露による影響についても十分に伝えられていません。 しかし、医療スタッフの健康に影響を及ぼすことであり、各医療施設の組織的な取り組みが重要です。院内での取り扱いマニュアルや安全チェックリストの作成、職員への教育・訓練や健康管理などを行い、安全に取り扱えているか監視する体制を構築することが必要となります。被ばく経路とリスクを正しく理解した上で、実現可能で有効な対策を取ることが大切です。 抗がん剤ばく露の影響 HDの職業性ばく露は、急性・短期間の反応だけでなく、長期的な影響とも