2016年6月、スペインで新発売された1本のボトルにワイン業界全体がざわついた。なにせその色が赤でも白でもロゼのような中間色でもなく、雑じりっ気のないインディゴブルーだったから。メディアも一斉にこれを取り上げ、一夜にして斬新な「青いワイン」が広まった。 けれど、色よりもっとセンセーショナルだったのは、このワインをプロデュースしたのが、20代のクリエイター集団だということのほうでは?なぜなら彼ら、誰ひとりワインの醸造に携わったことすらないシロウトだって言うんだから。 彼ら全員がワイン作り未経験だったこと、そして6人がクリエイターであること。これが青いワイン誕生の決定打だろう。酒造メーカーやワイナリー経営者がひとりでもいれば、どうしたってトラディッションを少なからず意識したはず。 もちろん、そこにリスペクトがなかった訳ではない。そのうえで彼らが目指したのが、ワイン業界の伝統を打ち破る革新だ。