激しい雨の中、マンションの入口で菅の帰宅を待ち続けた夜になり、国会記者会館の会議室で記者の河野が頭を悩ましていると、取材班のメンバーがあるネット記事を見つけた。自民党の菅義偉が7日に仙台市で講演し、持論のライドシェア解禁について語ったというニュースだった。 菅はこの日、仙台市へ出張していたのだった。国会内を探しても、取材できるわけがなかった。中国地方の情報網を強みとする中国新聞にとって、東北地方の情報はなかなか手が届かない。「出張予定の情報が入っていれば、菅に直撃できたのに」。出張の情報を得られていなかったことを悔やんだ。 だが、まだチャンスがあるのではないかとも感じてきた。ネット記事を見ても、何時から何時まで講演したかは書かれていなかった。もし午後に講演して、仙台市から新幹線で自宅に帰ってくるとすれば、自宅で待っていれば、菅に直接取材ができるのではないか。 「やれることは全てやろう」。