フォトグラファーの高橋伸哉さんが、「或る旅」の記憶をつづるフォトダイアリーです。 ◇◆◇ 今回の旅はベトナム、ずっと行きたいと思っていた国だ。 私の写真教室に参加してくれたS氏が、今では友人となり、ベトナムの旅へと誘ってくださった。 友人となっても、こちらが写真を教えるという立場は変わらない。しかし、何かに夢中になると全てを忘れてしまう私は、滞在中ずっとベトナムの活気ある人々や雑踏に刺激され、ひたすら自分の好きな写真を撮っているだけだった。S氏には大変申し訳ない結果になった(笑)。 さて、ベトナムの街といえば、フランス統治時代の建築物や古き良き時代の面影を残すハノイが有名であろう。ハノイ近郊には、世界自然遺産のハロン湾もあり、見所がとにかく多い場所である。 スナップを撮るフォトグラファーにとって、アジア特有の雑多な喧騒(けんそう)と乱雑なストリートは、被写体の宝庫だといえる。年間を通して寒