筆者は生協などによく講演を頼まれるのですが、除草剤グリホサートとネオニコチノイド系殺虫剤は、質問が相次ぐ2大農薬。「発がん性が……」「はちが死ぬ……」「諸外国はみんな禁止になっているのに、日本は残留基準値を上げた……」などと質問責め。残念なことに間違った情報も広がっています。 グリホサートは、田植え準備で行う田起こしの前や、畑で種まきをする前、雑草を枯らすために用いることが多い(taka4332/gettyimages) そこで、二つの農薬について解説しましょう。今回は、「発がん性疑惑農薬」などと喧伝されるグリホサートをめぐる科学的事情と海外の状況を詳しくお伝えします。非常に複雑です。でも、これが科学なのです。 登録されてから30年以上経過した除草剤 グリホサートは、米国モンサント社が開発し、日本では1980年に農薬として登録された除草剤の成分名称です。非選択性、つまりあらゆる作物、雑草の