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ブックマーク / blogs.itmedia.co.jp/natsume (41)

  • 論文の「引用」と著作権法:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    9月25日の学習院、僕の批評研究ゼミで、「引用」と著作権に関する講義を行いました。 以下、そのレジュメです。なお、引用した宮大人氏の論文を、改変して例とした部分については宮氏の許諾を得ました。 2013.9.25 マンガ・アニメーション批評研究ゼミ 論文の「引用」と著作権法 夏目房之介 1)論文の引用例 宮大人「昭和50年代のマンガ批評、その仕事と場所」より 「ぼくら」にとって、「日常性をとび越える」ことは、目の前にある「日常性のリアリティー」から逃れることではなく、それを通過したその「向こう側」にしかありえない、という認識を与えてくれたのは「青年まんが」であった。しかし、1970年代に入ってからのそれは「日常性を切り捨て、ひたすらロマンの自閉の道を目指した、小池一夫、梶原一騎の原作」18)の方向と、「何をやっても先がみえてしまっている、日常の枠からとびだしてみせることの困難さを知っ

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  • 『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    デヴィッド・ハジュー『有害コミック撲滅! アメリカを変えた50年代「悪書」狩り』(小野耕世、中山ゆかり訳 岩波書店)読了。素晴らしいです。460p2段組の分厚いなのに、次が知りたいのでページを繰るうちに読み終えてしまった。 地道な取材、インタビュー、当時の記事などを積み重ね、具体的に何が起き、誰が何を思い、話したかが、きちんと書かれているので、今まで漠然としていた50年代にアメコミをほぼ壊滅させてしまった(そのため、少なくともその直後にはスーパー・ヒーローのみが残った)バッシングの経緯がイメージできる。 取材の中心はコミックブックを制作した側、経営者、編集者、アーティストたちだが、バッシングした側(心理学者、政治家、ジャーナリスト、母親など)、その当時はほとんど発言の機会のなかった読者たち、あるいは読者ですらなかったが、焚書運動に参加した者たちの言説まで紹介し、その事態を多角的に描写し

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  • 内記稔夫さんが亡くなった:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    「現代マンガ図書館」を作られ、私費で貸を中心に膨大なマンガを保存整理され、日のマンガ研究に大きな貢献をされてきた内記稔夫さんが亡くなられた。 内記さんは、江戸っ子らしい気風の素敵な方だった。よく会場を手配してくれたマンガ史研究会では、いつも分け隔てない態度で若い人たちにも接し、気さくに何でも話してくれた。長い間、私財を投じてアーカイブを支えてこられた彼に手塚特別賞が贈られたときは、当に嬉しかった。でも、そのスピーチでも窮状を訴えられていたのが記憶に残る。もともとブックオフを狙った「著作権を考える会」の運動が失敗し、ついでみたいに一定程度の蔵を持つ貸し業に課金することになったときも怒っておられた。私設図書館は、貸屋さんなのだ。マンガ出版社は、恩人に仇で返すマネをしたといわれても仕方がない。あの時は休業することになった生き残りの貸屋がずいぶん出ただろう。悔しかったと思う。 いや、

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  • 佐藤秀峰『漫画貧乏』(PHP):夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    『ブラックジャックによろしく』『特攻の島』の佐藤秀峰が、雑誌連載では赤字になる状況の中で原稿料の不合理に疑問を感じ、出版社との交渉を繰り返し、ついに紙媒体の泥舟的先行きに悩み、自作を含むマンガの配信サイト「漫画 on Web」を立ち上げていくまでの悪戦苦闘を書いた。 http://mangaonweb.com/creatorTop.do?cn=1 こうした問題は、すでに竹熊健太郎がある程度まで単行で追求しているが、佐藤の原稿料、印税収入と支出の関係の記述はさらに詳細で、それ自体、ほとんど外に知られることのない貴重な資料である。たんなる感情論ではなく、きちんとした収支の数字と、それにもとづいた交渉および出版社の対応を描いている。これは、現在のマンガ製作現場を考えるとき、重要な資料になりうるだろう。もちろん佐藤個人の経験ではあるが、少なくとも彼や、彼より過酷な状況にいるマンガ家、プロダクシ

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  • メビウスさん亡くなる:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    昨夜、知り合いの方からメールをもらいました。BDの巨匠、メビウス(ジャン・ジロー)さんが亡くなったと・・・。驚きました。そのときは確認が取れなかったのですが、今朝、あちこちから報告が入りました。パリ時間の10日朝だそうです。 数年前にお会いしたときも、調子はよくないんだとおっしゃっていたが。「太極拳はやってますか?」と聞いたら「今はやってない」というので「また始めるべきですよ」と軽くいうと「そうだね」と答えられていた。もちろん、ただの社交辞令だったが、じつは相当大変だったのかもしれない。でも、日にきてくれたんですね。ありがとう、メビウス。ご冥福をお祈りします。 http://animeanime.jp/news/archives/2012/03/bd_21.html http://d.hatena.ne.jp/izumino/20120311/p1 http://frenchcodebl

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  • 「夏目漱石財団」閉鎖についてのお知らせ:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    2009年7月当ブログで、同年4月に設立されていた「夏目漱石財団(一般財団法人夏目漱石)」に対し、私は、同意いただいた親族とともに活動に反対する旨、ご報告いたしました。その後、財団の一部の方と連絡協議し、財団は活動停止状態になっておりました。 今回、2年の活動停止をもって、公式に財団閉鎖の手続きが終了したとのご報告をいただき、閉鎖事項証明書のコピーを入手いたしました。事情を知らずに財団に参加された方々にはご迷惑をおかけしましたが、ようやく正式に財団問題が解決したことになります。 この厄介な問題をともに解決していただいた財団の方、及びご協力いただいた方々に心よりお礼申し上げ、ご報告させていただきます。 以下に、当ブログでご報告した記事と、関連情報のURLをご紹介します。ただ、知らずに財団に関わってしまった方々に、さらにご迷惑をおかけしたくないので、ここではコメント欄をカットして転載いたします

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  • 藤子・F・不二雄ミュージアムと川崎市市民ミュージアム:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    昨日金曜は、ゼミ生たちと研修遠足で、川崎市藤子・F・不二雄ミュージアムと川崎市市民ミュージアムを回った。当はゼミ合宿で、また青虫に行きたかったのだが、ドライバーと車の調達難やスケジュールが合わなかったりで、合宿はとりやめて「遠足」になった。藤子ミュージアムは登戸で、川崎ミュージアムは武蔵小杉なので、南武線で20分ほどで移動できる。 藤子ミュージアムは、ジブリ方式でローソンで入館時ごとのチケットを買う。午前10時からの回に入り、昼後移動。娯楽施設なので研究的にはあまり見所があるわけではない。Fさんの棚は面白かったが、残念ながらちゃんとそれぞれのが見えるようには展示されていない。原画が多いが、全体にそれほど面白いかというと、う~ん。 手塚記念館のような工夫もあまりなかったかな。図録もまだできてないし、ミュージアムショップでもさして買うものはなかった。学芸員のいない施設だろうから、資料を

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  • マンガ史関連の新刊二冊:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    重要なが二冊、立て続けに出た。 すがやみつる『仮面ライダー青春譜 もうひとつの昭和マンガ史』ポット出版 帯「石ノ森章太郎、ジョージ秋山、松零士、宮谷一彦、宮ひろ志・・・・・その渦中にいた『ゲームセンターあらし』のすがやみつるが綴る体験的昭和マンガ史」 ご存知の方はすでにいうまでもないが、すがやさんは僕と同じ1950年生まれで、ご同様にマンガ漬けで育ち、ムチャクチャ色んな場所で色んな人と交わり、おまけに驚異的な記憶力の持ち主である。当然のようにマンガ家になるべく石森章太郎のアシスタントをし、編集プロダクションで編集者をし、さらにジョージ秋山のアシにもなり、マンガ家となり、おまけに最近になって大学に入学、大学院まで進んで研究者としても活動している。そんな人のマンガ史+自伝が面白くないわけがない。何しろ、日のマンガが大きく変わった転換期に現場にいたのだ。マンガ史の史料としても貴重なはずだ

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  • 『ワンピース』で前年比プラスになったマンガ単行本売上:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    遅ればせながら「出版月報」2月号「コミック市場2010」(出版科学研究所 ※毎年2月号がマンガ特集)を取りよせた。マンガ雑誌、単行全部の売上は前年比2.3%減。ただマンガ単行(流通系の「出版月報」では「コミックス」と呼ぶ)は1.8%増。単行は、マンガを含む出版全体の市場ピークだった95年以後の15年ほどで5~6回は前年比増になっている。そのつど、コンビニ向け廉価版のヒットなど、出版の対応があった結果だが、今回は『ワンピース』単行の巨大なヒットが主因とされる。ほかに『進撃の巨人』ヒットや『鋼の錬金術師』完結などの前向き要因もあったものの、記事によるとほぼ『ワンピース』一作に頼った前年比増だった。 〈仮に『ONE PIECE』が2010年にこれほど部数を拡大せず、2009年と同数程度の発行数としてシュミレートすると、コミックス全体では約2%程度のマイナスとなる。〉(同誌6p) 『ワンピ

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  • 9日の「クローズアップ現代」:夏目房之介の「で?」:ITmedia オルタナティブ・ブログ

    2月9日のNHK「クローズアップ現代」で『ワンピース』特集が放映されたようです(観てませんが)。 じつは、その回で僕は大学院の修士生たちと『ワンピース』を分析してほしいと依頼され、学生たちはけっこうな時間をかけてTV用に大きな『ワンピース』年表を作成し、半日ほどかけて撮影もしました。ところが、ほかの内容に押し出されて放映分に入りませんでした。TVというのは、往々にしてこういうことがある、ということは経験的に知ってますし、自分だけのことだったら僕もさして不愉快にはならなかったでしょう。が、研究依頼まで受けて全部カットというのは、さすがに経験がないのと、学生諸君に申し訳ないので、正直怒ってます。めったにこういうことで怒らなくなってますが、いかに何でも見通しが甘すぎると。まあ怒ったところで何がどうなるわけじゃないですが、同僚の身体表象の先生方や事務の方々、学生諸君には協力もいただき情報を回してい

  • 「BSマンガ夜話」再放送:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    NHKよりお知らせがきました。 > > 突然ですが、12/24深夜に「マンガ夜話」が5再放送されることになりました。 BSデジタル10周年を記念して、12月にさまざまな過去のBS名作を振り返る 「BSベスト・オブ・ベスト」と銘打ったシリーズのひとつとして選ばれたものです。 再放送の内容は未定だそうです。 ↓ 放送内容が決定したそうです! >> 25日(土) 前0:15:30~1:15:30 童夢 1:16:00~2:16:00 攻殻機動隊 2:17:00~3:17:00 ナニワ金融道 3:17:00~4:17:00 編集王 4:18:00~5:18:00 みどりのマキバオー

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  • 諫山創『進撃の巨人』1~2:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    京都の集中講義後、事会から帰る途中で書店に入った。増田のぞみさん、泉信行(イズミノ・ウユキ)さんと一緒だったが、泉さんが薦めてくれたのが諫山創『進撃の巨人』1~2巻(講談社)で、その日、京都のホテルであっというまに読んだ。 東京に帰ってからヤマダトモコさんが発表してくれた自主ゼミがあり、そこに参加してくれた金田淳子さんが、ゼミ後の事会のときに強くオススメしたのが、やはり同作品だった。 間違いなく面白いマンガである。客家の住居みたいな、高い塀に囲まれた都市にかろうじて生存する人類と、彼らをう謎の巨人たち。閉塞した中で長い時代を過ごしてきた人類を中心に描かれ、謎の巨人はみななぜか男性型で、大小がある(へんに顔のでかい巨人がおかしい)。彼らと絶望的な戦いを強いられる人類の兵器は、これも奇妙な現実感のレベルで設定され、要するに巨人によじ登って、首の後部をそぎ落とす他殺すことができない。 この

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  • 小田切博『キャラクターとは何か』ちくま新書:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    しのごのいわずに、読め! とりあえず、読んでおけ! ・・・・と、このようにいいたいがまた一冊。 ベンキョになります! キャラクターという存在を、コンテンツ文化として語る系統と、ビジネスとして語る系統の双方に共通する陥穽と、その理由を、じつにわかりやすい文体で、簡潔に、しかし豊富な具体例をもって語った好著。産業論、市場論としては、中野さんの『マンガ産業論』以外に、これをウチのゼミでも必須の著書として挙げておくつもり。 まったく難しい議論はないので、すぐ読めるし、この一冊あるとキャラクター・ビジネスの世界的な経緯についても簡便な参照文献になる。 とくに、マンガやアニメを必要以上に「日文化」として奉る傾向や、とにかく作品の質を上げれば(面白いマンガを作れば)雑誌が売れると信じているような人に具体的に反論するときには便利。 〈文化とはある社会の中で固有の文脈によって消費されるものであり、単にコ

    小田切博『キャラクターとは何か』ちくま新書:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ
  • 西島大介『魔法なんて信じない。で君は信じる。』太田出版:夏目房之介の「で?」:ITmedia オルタナティブ・ブログ

    これは、非常に面白いです。いろんな意味で(笑)。 2007年5月、描き下ろしの『世界の終わりの魔法使いⅢ~影の子どもたち』全184pを入校した西島氏は、その後、手直しのため一部原稿の返却を請求し、出版社は送付をアルバイトに依頼。その後、送付するはずだった67pが紛失した。このの西島氏によるマンガは、その経緯をマンガ化したものである。つまり、一次的には紛失をめぐる出版社とのやりとり、ことの進み方を業界モノのように楽しむことができる「面白さ」があるなのだ。 けれど、西島氏の対応は、じつはふつうの作家さんとかなり異なる。もちろんショックを受け、悲しいと書いているのだが、同時に、マンガの生原稿がなくなる、という事態そのものにある種「マンガの価値」(描くことや出版サイドへと流通することの間で生じる価値の差異など)を考えるという意味での興味をもってしまう。感情的なことより、その推移を冷静に経験し

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  • 3)「夏目漱石」登録商標の申請について:夏目房之介の「で?」:ITmedia オルタナティブ・ブログ

    9月18日、ある方から「夏目漱石」の登録商標が申請され公示されているとの情報をいただきました。以下はその方から送っていただいたURLです。出願日は8月4日(解散に関する財団評議会7月30日の直後)、公開が同27日。 http://mendoza.cocolog-nifty.com/trespesos/2009/08/post-6374.html 即座に、この件を親族に知らせ、同時に財団理事I氏にも知らせました。I氏は「寝耳に水」であったとし、財団とは無関係な出願であるとしつつも、出願者である夏目一人氏に事実確認をするとの返答でした。が、なかなか一人氏がつかまらないようでした。 その間に私は、同様の歴史上の人物を巡る登録商標問題がすでに複数起き、特許庁でその件を巡る小委員会が開かれており、一応の結論が10月5日にまとめられるようだとの情報を得ました。 もし、取り下げが行われないのであれば、登

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  • 2)漱石財団の経緯と財団解散を巡る議事録:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    当ブログで「漱石財団なるものについて」という記事を公表したのが、年7月10日でした。 http://blogs.itmedia.co.jp/natsume/2009/07/post-25af.html 以後の経緯を、簡単に紹介します。 ブログ公開後、夏目一人氏などからのFAXがあり、数度のやりとりののち、財団の理事であるI氏からも連絡をもらいました。I氏によれば、多くの参加者は、一人氏から「他の親族の同意を得ている」旨確認した上で財団への参加を承認していたため、当ブログ記事を見て驚嘆した。多くの親族の反対があるかぎり財団は存続できないとして、理事会で解散決議を行った(賛成2、反対1)。7月30日、同議事を評議員会にかけたが、A氏を除く2名(夏目沙代子氏他一名)の反対で解散決議はできず、条件付きで事実上の活動停止を決めた、というものでした。この件で私はI氏と面談し、解散が当面無理であるなら

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  • 1)一般財団「夏目漱石」の解散:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    7月に一般財団「夏目漱石」なるものが設立されたことにつき、私と多くの親族が反対する旨を、このブログで公表し、新聞記事にもなりました。その後、私は財団の理事であったI氏から連絡をいただきました。氏によれば、多くの財団参加者が他の親族の同意を得た上でのことと信じて参加したとのことでした。I氏とは、その後財団問題の解決を探って面談もし、メールでのやりとりを続けておりました。 I氏の対応は率直で誠実でした。氏も財団解散を望みましたが、議決に至らず、他の親族の同意なければ活動休止という線でようやく落ち着きそうでした。そこにさらに「夏目漱石」の登録商標申請の問題が起きました。さいわい、こちらも取り下げとなり、ほぼ落着といって状態にたどり着きました。 これらの経緯をブログに公表すべく原稿を用意し、I氏にも確認してもらっておりました。それが10月1~2日のことです。 10月3日(土)夜、I氏よりメールが届

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  • 岩下朋世「手塚治虫の少女マンガ作品における表現の機構」:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    東北大大学院情報科学研究科のマンガ研究者・岩下朋世(ほうせい)氏の2008年度博士論文である。 ずいぶん前からもらってたのだが、何だかんだでようやく読了したのだ。岩下さん、ごめん。 タイトルからだけだと、手塚の少女マンガの作品論的なものかな、と思うかもしれない。あにはからんや、この論文、これまでのマンガ論を整理し、組み替えて、あらたな地平を開こうと試みる壮大な論文なのだ。正確を期すために、岩下自身の文章で要約する。 〈日の戦後マンガに関する研究は、範型としての手塚治虫を論じることを通じて体系化していった経緯がある。したがって、手塚治虫に関する研究の中で、体系づけられて論じてこられなかった「手塚治虫の少女マンガ作品」について論じる以上、従来のマンガ研究の理論的枠組みをさまざまなレベルから問い直す必要が生じる[略]そのためには手塚を範型として採用してきたマンガ研究の歴史を相対化する新たな視角

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  • 「漱石財団」報道 小学館「週刊ポスト」8月7日号:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    「スクープ★ワイド 夏目漱石 突然の「財団設立」を巡って孫と曾孫が泥沼骨肉バトル」 こうした見出しは大抵デスクが付けるのだと思いますが、たぶん、どこかでこうしたフレームでやりたがるだろうとは思っていました。中の記事は、それほど過激なものではなく、商標権、肖像権などについて弁護士の意見も聞いてまとめているので、内容的にはほぼ問題はないです。ただ、この問題を「夏目家の内紛」というゴシップでのみ報道されると、ことの質がボヤけてしまいます。この件についてはやはり(同じマスコミの人間としてわからんではないものの)ここで触れておこうと思いました。 私としては、(少なくとも現時点では)この問題は「夏目家の内紛」的なゴシップとしてではなく、知的財産権を巡る状況の変化を背景にした権利と社会共有のバランス、それをどう考えるかという公的な問題としての報道が望ましいと思っています。その観点からの社会的コンセンサ

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  • 「サンデー・マガジンのDNA展」開催:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ

    昨日、内覧会とレセプションがあり川崎市市民ミュージアムで「サンデー・マガジンDNA展 週刊少年漫画誌の50年」展が今日から始まります。日に少年マンガというジャンルを確立し、同時に青年マンガをメジャー化させ、メディア・ミックスを格化させ・・・・要するにマンガ市場の爆発を誘ったのは、サンデーとマガジンのライバル関係であり、その相互影響の力学だった・・・・というようなことで「DNA螺旋」的なイメージで半世紀を振り返ります。会期は7月18日~9月13日。その後、京都国際マンガミュージアムなどに巡回します。 http://www.kawasaki-museum.jp/display/exhibition/exhibition_de.php?id=74 僕はコンセプトを考えただけで、あとは斎藤宣彦氏やミュージアムの学芸員・金沢韻さんがやってくれました。サンデー、マガジンという異なる会社の雑誌編集部

    「サンデー・マガジンのDNA展」開催:夏目房之介の「で?」:オルタナティブ・ブログ