’19年10月に神戸市立東須磨小学校で発覚した教師間のトラブルは、世の中に衝撃を与えた。大の大人が陰湿な嫌がらせ行為を繰り返すさまは、まさに「大人のイジメ」と言っても過言ではない事態だった。 「大人のイジメはなくなりません。むしろ、残虐性が増す環境が醸成されています」と断言するのは、社会学者の宮台真司氏だ。その背景について次のように解説する。 「日本社会は’70~’90年代にかけて、地域社会の崩壊と、家族の空洞化が進行します。それで“世間”が失われ、自分と普段の友人以外はただの“風景”だという感覚がすり込まれたのです。その象徴が、電車内での化粧や、街頭での地べた座りでした」 もともと日本人は、学校や会社など集団でのポジション取りで自尊心を保ってきた。ところが“世間”が消え、友人も知り合い以上の関係ではなくなって、“個”が剝き出しになった結果、“常に大きな不安を抱えながら生きている”のが、昨