消費税率が8%に引き上げられて4年が経過した。2014年4月の増税は財政収支の改善に一定の役割を果たしたが、その反面、消費の大幅な落ち込みを通じて景気や物価の動向にマイナスの影響をもたらした。こうした中、19年10月には再増税(消費税率の10%への引き上げ)が予定されており、その実施・延期の決定が今秋にも行われるものと見込まれる。増税実施の可否を判断するに当たっては、14年4月の増税が景気や物価の動向にどのような影響を与えたのかをつぶさに点検することが欠かせない。 そこで、本稿ではこの作業の一環として、消費税率引き上げが家計消費に与えた影響について、さまざまなデータをもとに検証を試みることとしたい。 本稿の主たるメッセージは、 (1)消費の停滞を、社会保障に関する将来不安や潜在成長率の低下などの構造的要因に求める見方は、実際のデータとの整合性が確保されない。 (2)実質消費の動向は実質所得