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ブックマーク / projectitoh.hatenadiary.org (24)

  • 自腹は神様ではない - 伊藤計劃:第弐位相

    なんだか、ひさしぶりに道徳的な話を書きたくなってしまったので、ウザいと思う人はパスしてください。しかも、これから書く「道徳」は、かなりものを観るうえで初歩的な、小学生レベルの心構えなので、普通の人は読まなくていいです。 まず、映画は「テーマを観に行くものではない」ということです。 宣伝文句で言われていることは、大体の場合映画の作り手の意思とは何の関係もありません。「ミュンヘン」を観て「テーマがよくわからなかった」などという人は、映画を観に映画館に行っているわけではないのです。代理店のコピーライターが考えた数行のキャッチコピーを、わざわざ1800円払って映画館に確認しにいっているだけなのです。 映画とは、そこにただある映像に過ぎません。 そこから何を持って帰るかは、われわれに任されています。逆に言えば、映画を観て得られるものは、その人の感性や知性のレベルに見合ったものでしかない、ということ

    自腹は神様ではない - 伊藤計劃:第弐位相
  • やっとまともに役が付いたよ,という話 - 伊藤計劃:第弐位相

    たまたま飯をいながらテレビを観ていたら「相棒」というドラマがやっていて、実はそんなに観たことはなかったのだけれど、いきなりバイオハザードだのP4(劇中では『レベル4』という言い方をしていましたが)施設だのNBC部隊だのが出てきて、こんなドラマだったっけ、金かかってんな〜、と思いながらみていたのだが、そのウィルス事件の黒幕が陸自だったので驚いた。おお、日でもこんなお話ができるようになったのね、と。 ところがmixiの日記を検索してみると、やれテロ朝だの朝日の自衛隊批判に萎えただのといったコメントが幅をきかせているではありませんか。えええ?これってやっと自衛隊がフィクションの道具としてパブリックに認められた瞬間じゃないの?と思ったのだが、どうやらネット右な人たちの目にはそう映らないらしい。 ええ、確かに「ガメラ」は自衛隊を大フィーチャーしてましたよ。でもそれは興行成績が示すとおり、多分にオ

    やっとまともに役が付いたよ,という話 - 伊藤計劃:第弐位相
    crow_henmi
    crow_henmi 2008/12/18
    自衛隊の置かれているコンテクストが「自衛隊悪役物」に政治的色彩をつけてしまうという点について雑では。まあコンテクスト云々は全ての事物に云えるが、自衛隊の場合は立場の捩れが話を特に複雑にすると思う。
  • 2008-12-14

    とはいえ、またすぐ入院するのだけれど。なんだかガンマ線ナイフというのを患部に当てるらしく、意味もなくわくわくしている自分がいる。CT、MRI、PET、骨シンチ、とありとあらゆる医療機器に放り込まれてきた自分ではあるが、今回は名前に興奮する。ガンマ線ナイフ。響きが大変素晴らしい。ガンマ線ナイフ。なんだかプログレッシヴナイフのような響きを感じる。他には重粒子線というさらにSFっぽい抗がんデバイスがあるのだけれど(千葉にあるらしいのいだが、保険がきかず、一カ所300万円近くするらしい)、わたしの症状はそちらの適応には向かないらしい。 退院している一週間の間にどれだけの映画が観られるのか。外に出る体力がメチャクチャ落ちているのでそうたくさんは観られないだろう。「エグザイル/絆」「WALL.E」「トロピック・サンダー」「地球が静止する日」「K-20」「ワールド・オブ・ライズ」あたりは行っておきたいと

    2008-12-14
  • 「ダークナイト」のアニメ並みに制御された画面構築力について - 伊藤計劃:第弐位相

    諸事情あって、画像がえらく汚くてすんません。 さて、 Q:上の画像は「ダークナイト」の一場面です。それはどこでしょうか。 A:ゴッサム地方検事ハーベイ・デントのオフィスにいるゴードン警部です。 そうですね、で、問題は背景です。背景をよ〜く見てください。何が見えますか。ゴードンさんの後に、何が見えますか。そうです、ファイルキャビネットか棚か、とにかくか捜査資料のようなものが書架に並べてあります。この書架が問題なのです。汚い画像でわかりにくいかも知れませんが、センターやや右よりな手前のゴードンを境にしているんですが、わかりますか。 左半分が整頓され、右半分が乱雑になっているのが。 後々、トゥーフェイスに変貌する人間のオフィスで。 いやこれびっくり。これ見たときいの一番に思い出したのが押井守の名著「METHOD」。「パトレイバー2」のレイアウト(画面設計)集なんですが、その中で押井さんはレイ

    「ダークナイト」のアニメ並みに制御された画面構築力について - 伊藤計劃:第弐位相
  • スチームじゃない - 伊藤計劃:第弐位相

    昨日の日記にリンクしてくれたid:win-sch:20081019:1224403158を読んだり、wikiの「スチームパンク」の項目を読んだり、復刊された「ディファレンス・エンジン」上巻のオビに書かれた「スチームパンクを生み出した」という記述を読んでいて、どうやら世間では何か重要なことが間違っているらしい、と気がついたのですが、それは何かというと、 「ディファレンス・エンジン」はスチームパンクじゃありません。 え?だって蒸気コンピュータの話でしょ?なのになんでスチームパンクじゃないの?スチームパンクじゃなきゃ何なのさ、と思う方がいらっしゃるかも知れません。まあどうでもいいっちゃ心底どうでもいい話なのは自分でも認めますが、それでも一応書いておくと、 「ディファレンス・エンジン」はサイバーパンクです。 そもそも、スチームパンクという語はどうして生まれたか。これは在るの後書きにしっかり書いて

    スチームじゃない - 伊藤計劃:第弐位相
  • 2008-08-10

    スランプだと思う。書けずに苦しむとはこういうことなんだなあ。 まさか自分にスランプが来るとは思わなかった。誰も自分にそれがふりかかるとは思わないように。だから最近そのストレスをブログにぶちまけていたのかもしれない、という話をある人(最近逢う人にはこの話しかしていないのだが)にしたら、ブログに整然と論を立てて書かれた文章がストレスの兆候というのは相当病んでいるのではないか、と言われた。 いや、ストレスってそういうものだと思うのだけれど。 某社某さんと打ち合わせをしたときに出た話。 わたしが入院しているときに限って世間では大事が起こる。 中学の時、正月に喘息で呼吸が止まり、ICUに入れられて、やっと退院したら街がやたら静かで、帰ってから前日に昭和天皇が崩御したことを知った。 いまわたしが付き合っている病のそもそものはじまりのとき、大手術を終えて入院しているときに、世界貿易センタービルに旅客機が

    2008-08-10
  • 余談2- 伊藤計劃:第弐位相

    以下のセンテンスまたは類似の言葉を使っている映画評は信用できないorつまらない、というワードを淡々と列挙するよ。 ストーリーが読めてしまうからよくない エンターティメント(娯楽映画)としてはすばらしい 芸術としてはすばらしい 人物描写が浅い(薄い)からよくない 人物描写が深い(しっかりしている)からいい テーマが深いのでいい テーマが浅いのでよくない テーマが見えてこないのでよくない テーマが描けていないのでよくない ある社会との関連が薄いのでよくない ある社会をよくとらえているのですばらしい ある思想なり社会批評なりが描けていないからつまらない ある思想なり社会批評なりが描けているからよい 登場人物に感情移入できないからつまらない と書いている人。基的に、「自分が読めていないだけなのじゃないだろか」ということに疑いを差し挟まない系の言葉ばかりです。例を挙げると、「人物描写が浅い」という

    余談2- 伊藤計劃:第弐位相
  • スカイ・クロラ観てきた - 伊藤計劃:第弐位相

    ビューティフル・ドリーマーSIDE-B。 「予感」だけが圧倒的にのしかかりつつ、淡々と繰り返される日常。 つまりいつもの押井映画。 エンディングが押井のコントロール下にない歌物、というのは押井的に「愛はブーメラン」以来、という意味でもうる星2裏面。 (「イノセンス」の「Follow Me」があるじゃねーか、という貴方は甘い。あれは確かに鈴木敏夫が持ってきたものだが、わざわざ川井憲次に編曲させて新録しているのだから、押井的なコントロール下にある。) BDでは「愛はブーメラン」ののち、引いた校舎の画に日常を告げる鐘の音が鳴る。あの鐘の音がm「スカイ・クロラ」に於いてはエンディング後の具体的なシークエンスに相当する。逆に言えば、スカイ・クロラのスタッフロール後のシークエンスを、鐘の音一つに省力化したのがBDだったのだとも。 ラムという壮絶な非日常があっというまに日常に回収されてテレビシリーズが展

    スカイ・クロラ観てきた - 伊藤計劃:第弐位相
  • Watch the world burn. - 伊藤計劃:第弐位相

    そうとも! 教会のなかじゃ、ゲスな事を想像しろ! ホワイトハウスにゃ、正直さを教えてやれ! 会ったこともない奴に、 使われてもいない言葉で手紙を出せ! 子供の額にゃ、ヒワイな文句を書きなぐれ! クレジットカードを捨てて、ハイヒールを履け! 精神病院のドアは開いてるぜ! お上品な郊外を、殺人と強姦で埋め尽くせ! 聖なる狂気よ! 快感よ満ちよ!あらゆる街路に! 笑え、そうすりゃ 世界も一緒に笑うぜ! 「バットマン:アーカム・アサイラム」 「パトレイバー2」以来だろうか。 これほど自分の魂にぴったりくる映画は。 他の人がどうかは知らないけれど、フィクションという手段で自分は何が観たいのか、という自分が抱いてきた「気分」に、かなり精度の高い答えを提供してくれる種類の映画だ。 バートン版のジョーカーはおとぎ話の人物だった。というよりも、バートン版のバットマンはおとぎ話として作られていた。ニコルソンの

    Watch the world burn. - 伊藤計劃:第弐位相
  • 2008-06-25

    「シュライク」というとSF者は問答無用でハイペリオンであり、ミリオタにとってはAGM-45なわけですが、今回はシュライクの和名、すなわち百舌のお話でございます。 百舌谷さん逆上する 1 (アフタヌーンKC) 作者: 篠房六郎出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/06/23メディア: コミック購入: 21人 クリック: 289回この商品を含むブログ (188件) を見る 「ああ丁度樺島みたいな非モテの顔面のフォルムが不自由な伊藤とか言う奴が通りすがりのドMですんで何でもおっしゃってください私のアースホールカタログは凶暴ですとかアタシにほざくから丁度いいわ適当になんか頭脳奴隷としてこき使ってやるわ」 というありがたい女王様(巨乳・聖なるジャージ着用)のお言葉を受けて歴史に残る女王様のお仕事に初号機の馬鹿数字的起動確率程度に貢献させていただきましたことは身に余る光栄でちなみにこのとき「積

    2008-06-25
    crow_henmi
    crow_henmi 2008/06/25
    病状の消費、という意味ではヤンデレにも通じる問題意識かも。
  • 2008-04-21

    この前、ある場所でとある方とお話させていただいたときに、 エロゲー(というか、ノベルゲーですか)が批評的な場で語られたのって、結局、お話だったからでしょ と、ふと思ったのでした。 たとえば、あくまでたとえばですけど、ゲームのインターフェイスの変遷や、ゲームという言葉どおりそこに内在するルールをプレイヤーがいかに受容するか、などといった方向を、(平凡ですが、まあ例ということで)生権力の話や環境管理型権力(これなんてまさにゲームデザインの思考ですからね)の話などに絡めて論を展開するとか、そういう可能性はいくらでもあったように思うわけです。なにせコンシューマーゲームでは「システム」をひとつひとつ設計し、世界(物語空間ではない)を一回一回デザインすることが多かったわけですから。ゲームの中で物語性に絡まない部分であっても、いくらでも批評的な話はできたはず(じゃあお前やれよ)。 それが、なぜ(一時期)

    2008-04-21
  • 理由と喪失 - 伊藤計劃:第弐位相

    都写真美術館にて「カルラのリスト」を見る。 国際刑事裁判所(ICC)や旧ユーゴスラビア戦時法廷(ICTY)はハーグにある。ハーグはオランダだ。だから別にどうということではないのだが、 戦犯はスケベニンゲンに収監されている。 だから、ミロシェビッチもスケベニンゲンだった。 と、この映画の最後に知った。だからといって深い意味はない。 深い意味はない。 http://www.hayakawa-online.co.jp/product/issue_schedules/book/list.html ストロスの「ラブクラフト+スパイ」もの、 "The atrocity Archives" が12月に邦訳が出るらしいですよ! http://en.wikipedia.org/wiki/The_Atrocity_Archives によると「コールダー・ウォー」はネタは似てるんだけど、まったく別の話だそうです

    理由と喪失 - 伊藤計劃:第弐位相
    crow_henmi
    crow_henmi 2007/11/14
    義を「必要」としているうちは、自分は義の外側に在る。義の「ために」戦っているうちは、絶えず義を「参照」せねばならない。自分が義そのものではない。
  • 変態者 - 伊藤計劃:第弐位相

    金曜日に観に行ったのはシャブロル(「石の微笑」)。日曜日リドスコ(「プロヴァンスの贈り物」)。土曜日は? トランスフォーマーに決まってるだろうが! 「マイケル・ベイが人類にとってはじめていい事をした」と評判のトランスフォーマーであるが、確かに。mixiレビュー見ていたら「映像はすごいけど人間ドラマはスカスカ」「ハリウッド大作らしく脚の書き込みが甘い」 お前ら全員一生映画見なくていいよ!てか来てくれるな!特に人間ドラマ云々とオウムのように繰り返すオウム並みのおりこうさん! 訴えかける欲望の方向は「ガメラ2」や「3」ときわめて似通っている。つまり「怪獣が町中に + 大破壊 + リアル軍隊で応戦 = (゚Д゚)ウマー」という完璧なボンクラ方程式。大昔から変わらぬ「リアルなアレが観たい」。それ言うならハリウッドゴジラは?宇宙戦争は?断言するが、フェティシュの有無だ。エメリッヒはともかく、ミリオタ

    crow_henmi
    crow_henmi 2007/08/06
    フェティッシュとかダンドリズムとか、絵面そのものとか、物語より重要かもだ。
  • 2007-08-02

    http://sanseido-eventhonten.hontsuna.net/article/1909082.html 円城さんとなんか喋ります。溶けながら。よろしければどうぞ。 Boy's Surface読んでから、何も書く気が起きません。 デジャヴ(DVD) The Bourne Ultimatum Original Soundtrack(CD) エル・アレフ(なんか別の短編集と内容が被っている気が・・・)。 「デジャヴ」はどこにも書いていないけれど、実はトニスコと脚家とカイマーのコメンタリーつき。「監視の窓」ってやつがそれ。変な名前つけられてもコンテンツの中身がわからなきゃしょうがないじゃん。「あ、コメンタリーないのか。買うのやめた」ってDVD,俺けっこうあるんだけど。 ボーン音楽はなんかオケがリッチになって、音にふくらみが出た分ソリッドさがなくなった感じ。うーん、これがグリー

    2007-08-02
    crow_henmi
    crow_henmi 2007/08/03
    お大事に。快癒切願しております。
  • 2007-07-12

    日曜、飲み会があり、篠房氏とエロゲーかBLを作ろうというネタ話になる。いつものグダグダなネタ話。(私伊藤が)吉里吉里/KAGはかなり覚えたので、ちょっとしたノベルゲーなら作れると思うから、とはいうものの、企画自体がいつものネタ話なので当にやるかどうかはわからない。てか、たぶんやらない。 世界が萌え化していくという話を考えた。ハルヒのような存在が何人もいて(え?SRE?)、しかもそいつらが全員エロゲ脳なのものだから、欲望の世界演算合戦がエクストリームリーになった結果、唐突に血縁の妹がいることが判明したり、同級生の女の子が記憶を失ったあげく前向性健忘症になったり、多重人格になったり、好きだった女の子が不治の病になったりする、といったように主人公周囲の世界がものすごい勢いで後付けで改変されて、加速度的にすさまじい状態になる。 篠房氏は萌え機関はどうだろう、という話をする。激シブな神宮司三郎状態

    2007-07-12
    crow_henmi
    crow_henmi 2007/07/13
    エロゲってそういうモンですけど赤裸々だなあ。メタ的。
  • 2007-07-10

    日発売のの雑誌8月号で大森望さんにご紹介いただきました。 ニュータイプ8月号で円城塔さんにご紹介いただきました。円城さんの写真のポーズがステキです。 稲葉振一郎さんにブログ[id:shinichiroinaba:20070709]でご紹介いただきました。謎風読解。いや、突っ込まれどころ満載のなので、痛いよう、痛いよう、なのですが、「英語だとイギリスとか世界全部の英語圏にいくんじゃね?」「アメリカが○○たら全世界に迷惑がかかるんじゃね?」という大ツッコミには自分で言うのもなんですが、一応裏読みが設定してあります。とはいえ、なんか書いた人間が自分であれこれ言うのも見苦しい気がしますし、世の中に出た時点で自分も一読者に過ぎないわけですから、エピローグで主人公はあることについて大嘘をついているかもしれなくて、事実はどうなのか、は一応それまでに触れられているかもしれない、という程度にとどめて

    2007-07-10
  • 2007-07-05

    円城さん、大森さん、塩澤編集長、と打上げ&打ち合せ。次の作品についての漠然とした話とか、円城さんの待機宴会はどこでやるか、とか。何人くらいくるのか、とか、まあこれは円城さんの話ですけど。待機宴会というものの空気を味わってみたかったので、顔を出させてもらうことに。 しかし、仮に受賞したら、SREのときと同じくSFマガジン8月号に載るやつが受賞後第一作ということになるんですよね、円城さん。円城さんは私にとって恩人のひとり(円城さんに勧められなければ、ぼくは早川さんに原稿を送ることも無かったでしょう)なので、受賞してくれると嬉しさも人一倍なのですが。 てかゾディアック話、続き書けてないね。すみません。 円城さんらと飯をってて思ったこと。 「私は〜を読んでない」 という話をよくする人である、ということ。「ディファレンス・エンジン」は読んでない(SFセミナーのとき)とか。 実はスター・ウォーズを見

    2007-07-05
  • 2007-07-02

    「傑作だけど地味」「傑作だけど長すぎ」「傑作だけど寝る」 そんな評判を至るところで目にしてから赴いた映画館。いい映画なんだが地味で淡々・・・とはいえ、ぼくのフィンチャーに対する印象って最初(「エイリアン3」)から、オフビートな時間をだらだら垂れ流すひと、だったので、あまり気にはならなかったのだけど。「セブン」って時間の流れも物語りもすごく弛緩した映画だと思うし(理由はある)、あの傑作「ファイト・クラブ」にしたって、編集のリズムはフィンチャー特有の「ダラダラ進行」だったと思う(たとえば「ファイト・クラブ」をダニー・ボイルあたりが撮ってたら、もっとガンガン進行型ポップ映画になったんじゃないでせうか)。 でもまあ、上映時間約2時間40分とか聞くと、さすがに「フィンチャーのダラダラ進行を160分は流石に辛いかも……」と自分も構えてはいたのです。いま体調的にもアレだし。で、映画が始まったのだけれども

    2007-07-02
  • ロスト・ワールド - 伊藤計劃:第弐位相

    友人の糸杉氏とK氏がお見舞いに来てくれたので、吉祥寺でダラダラと話す。というか、ぼくが一方的に語っていただけのような気がするけれど。 90年代には70年代ブームがあり、いまは80年代ブームと言われているけれど、90年代ブームはその後にくるのだろうか、といういわゆる「失われた10年」系の話。自分で話しておきながらなんだけれど、当に非生産的である。これがオタクだ。 ぼく個人の感触としては「こない」んじゃないか、という。それこそ「失われ」てるわけだし。あの時代でリバイバルされそうなものって何もないような。ぼくはその空虚こそをとっても愛しているので、いまは耐え難く、80年代に青春が来ていたらと思うとぞっとする。90年代を引き受ける人間の不在を、ある方とお話したことがあるのだけれど、あの「みんなすでに死んでいる」感じと漫然と生きていくこと、全力で後退していくこと、を誰か引き受けないのだろうか、と僕

    ロスト・ワールド - 伊藤計劃:第弐位相
    crow_henmi
    crow_henmi 2007/06/13
    >モラトリアムは状況でなく、倫理だった、と誰かが言ってもいいのじゃないか、いまあえて。>失われた10年。
  • 2007-04-14

    役者の顔が、映画の物語と幸福な関係を取り結ぶことがある。 南ア出身の傭兵、という設定を聞いたとき、あれれ、と思ったものだ。「ブラッド・ダイヤモンド」。ディカプリオが傭兵ですか。私はどうも、ディカプリオの「髭つき」の顔が好きではない。「ギャング・オブ・ニューヨーク」に「アビエイター」。スコセッシが何を考えているのかさっぱりわからないのだけれど、なんでこんなベビーフェイスにスコセッシは髭をつけたがるのか。はっきり言って、ぼくにはそれらの役の髭がドリフ並みの付け髭にしか見えない。いやもちろん付け髭は付け髭でかまわんのだけれども、映画の中で髭をつけた彼の顔は、まるでコントだ。髭がまるで顔になじんでいない。 これはひとえに、ディカプリオの童顔の特殊な性質によるものではないか、と思う。ディカプリオが髭をつけると子供おっさん化してしまうのだ。そして、この映画の主人公であるダニーは、南ア出身の傭兵だったと

    2007-04-14