2006年現在の日本は、各人の所属する文化・習慣・価値観の多様化が著しい状態だとしばしばいわれるが、オタク文化圏もまた、カルチャーの細切れ化がとりわけ進行している分野のひとつと言えるだろう。ゲームやアニメといったコンテンツが無尽蔵に氾濫し*1、好み・ジャンルによって樹状の枝分かれを遂げた現在のオタク文化シーンの全体像を把握することは、一人のオタクにとって殆ど困難になっている。例えばエロゲーという分野なり、例えばミリタリーという分野なりは、それぞれのジャンル内だけでも幅広いニッチに分かれており、同じエロゲー愛好家の間でさえ、“互いに翻訳可能な共通認識のあるゲーム”を探しながら話をしなければならないという状況は少なくない。相手の知らないゲームの話をする際、「月姫の琥珀さんみたいなキャラ」とか、「スクールデイズっぽい黒さ」などといった表現を用い、何とか自分の考えを伝達しようとしたオタクさんは決し